“面白い”が起点――iPadの本質は好奇心にある:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
「情熱の系譜」iPadアプリの仕掛け人、協和発酵キリン広報担当マネジャーの長谷川一英さんにインタビューした筆者。インタビュー後、iPadに保存されたスイス旅行の画像を肴にした語り合いをして、iPadの本質に気がついた。
iPadはコンピュータ?
「iPadとは何か?」が私の目下のテーマ。インタビューと前後して「iPadマーケティングを考える」という講演を都内で行った。暑いさなかに熱く語った講演は「iPadとは何なのか?」という問いかけからスタートした。
例えで示したのが“iPad=システム手帳説”。システム手帳のカバーはiPad本体、シートや切り抜き、地下鉄路線図や名刺入れなどのリフィルがアプリということだ。一定のフォーマットの範囲でコンテンツを自由に選べて、中身もその順序も自由に入れ替えられるのも似ている。
ここが「起動し作業して終了する」PCのような目的志向のデバイスとは根本的に違うところ。iPadはタッチして何かをして、誰かとつながって、ポンとOFFする。PCは作業デバイス、iPadは生活デバイスである。その核心を「ストック=エディット=ポスト」という“iPadサイクル”で表現した。
お気に入りの情報をネットからストック(保存)、エディット(ノートやブログやTwitterで編集加工)、再びネットにポスト(投稿)。このみんなの連鎖が世界を変える。
起点には人の好奇心
あれこれ話をしたその翌日、私は長谷川さんをTwitterでフォローした。ここで「情熱の系譜」の記事を書く。読者はそれを見て、テレビ番組を観る。情熱の系譜アプリをダウンロードする。それについてブログやTwitterで語られる。まさにiPadサイクルがある。
起点にあるのは「面白い」ということ。iPadの革新は、人間の好奇心サイクルをコンピューティングに置き換えたところにある。
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