円高、3社に1社が売り上げに「悪影響」
8月24日には一時、1ドル83円台を付けるなど、15年ぶりの円高水準となっている。日本企業に円高の影響を尋ねると、「悪影響」と答えた企業の割合が、「好影響」と答えた企業の割合を大きく上回った。
帝国データバンクは9月3日、「円高に対する企業の意識調査※」を発表、円高が自社の売り上げに「悪影響」と考えている企業が36.7%と、「好影響」と考えている企業の6.9%を大きく上回っていることが分かった。業種別に見ると、「悪影響」の割合が高かったのは「製造」(47.4%)や「運輸・倉庫」(42.0%)などで、低かったのは「小売」(22.2%)だった。
具体的な声を見ると、「悪影響」と回答した企業では「輸出に依存する割合が高い」(自動車部品製造、愛知県)、「取引先の収益に影響するとコストダウン要請につながってくる」(機械部品製造修理、京都府)、「外国人観光客が減少する」(旅館・ホテル、長野県)などがあり、「好影響」と回答した企業では「小麦や油脂、砂糖など、原材料価格の低下要因になる」(飲食料品小売、大阪府)や「世界的に原料高のなか、この円高がなければ本当に“買い負け”して輸入できなくなる」(飲食料品卸売、神奈川県)などがあった。
日本全体という観点からすると、円高についてどのように考えている企業が多いのだろうか。「自国通貨価値の上昇は好ましいか?」と聞くと、「好ましくない」が65.5%と、「好ましい」の9.9%を大きく上回った。
「好ましくない」という企業からは「今以上にデフレを加速させる」(家具類小売、秋田県)や「成長をリードする輸出企業が停滞すれば、国の経済が停滞する」(一般機械器具卸売、兵庫県)、「好ましい」という企業からは「長期的に自国通貨が強くなることは、輸入物価の安定、海外投資の可能性の拡大などを考慮すれば良いこと」(自動車部品製造、東京都)や「強い通貨を持つ国は国際社会での発言力が増す」(電気音響機器製造、東京都)といった声が挙がった。
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