そんなに円高が進むとは……上場企業の8割が1ドル90円を想定
日銀が2兆円規模の市場介入を行ったものの、特にドルに対してはいまだ歴史的な円高水準にある為替市場。為替によって業績が大きくが左右される企業は、どの程度の為替水準を想定していたのだろうか。東京商工リサーチ調べ。
日銀が2兆円規模の市場介入を行ったものの、特にドルに対してはいまだ歴史的な円高水準にある為替市場。グローバルに展開している企業にとって為替の影響は大きいが、どのくらいのレートを想定していた企業が多いのだろうか。
東京商工リサーチが東京証券取引所1部、2部に上場する主な電気機器、自動車関連、機械、精密機械メーカー(3月本決算企業)で、2011年3月期決算の業績見通しで想定為替レートが判明した139社を調べたところ※、対ドルの想定為替レートで最も多かったのは「90円」で84.8%と断トツ。以下、「85円」(5.0%)、「92円」(3.6%)、「87円」「93円」(いずれも2.2%)が続いた。
企業別に見ると、トヨタ自動車やソニー、小松製作所は1ドル90円を想定、日立製作所は1ドル85円を想定。しかし、10月12日12時時点では1ドル82円台で推移しており、多くの企業にとって予想外の水準にまで円高が進んでいると言えそうだ。
ユーロについてはどうなのだろうか。想定ユーロ為替レートが判明した85社を調べたところ、最も多かったのは「120円」で47.1%。以下、「125円」(34.1%)、「130円」(5.9%)、「115円」(3.5%)が続いた。
企業別に見ると、トヨタ自動車や富士通では1ユーロ125円を想定、本田技研工業やパナソニックでは1ユーロ120円を想定。しかしこちらでも、10月12日12時時点で1ユーロ113円台で推移しており、想定外の円高が進んでいると言えそうだ。
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