既卒・無職なのに内定3社……それでも就活を続けるワケ(2/2 ページ)
緊急人材育成基金事業の再就職支援講座も終わりに近付き、入社を決めて講座から離れていく受講生も出てくる中、なかなか就職先を決められない不思議な男の子がいます。彼はなぜ就職活動を続けているのでしょうか。
“良い会社”を探し続けて……
納得できる会社選びは本当に大切だと思います。でも、政権の経済政策が頼れず、労働組合も正社員を守るだけで精いっぱいで非正規社員までは対応できない組織率にまで縮小させられ、結果として自分自身しか頼れないという意識が蔓延している状況下、入社するまでの納得感という漠然としたものを追い続けることの意義・意味については、不思議さを通りすぎて、歯ぎしりをする思いもあります。
特に、駅などに置いてある無料の求人広告などを見ていると、「インセンティブで月収50万円以上」という表記が踊る一方、ハローワークの求人情報では月収25万円以上の求人を探すのが大変な状況で、求人サイトでは「1日に何十人が応募しているのだろうか……」というWebサイトばかりが目立っています。既卒で無職の受講生たちの書類応募もままならないといった姿を見ていると、「彼らの中には正しい判断基準は形成されていないのではないか」という不安を持っています。
「正しい情報収集とその判断は、できれば義務教育下、または高等教育の中で十分に訓練しておいてほしい」と思っています。ただ、「社会に出たことがない、リストラの恐怖を感じることのない教育に携わる方々から、どこまでリアリティーのあるリスク教育が行われるのか?」というジレンマも感じており、親(保護者)の方々には、お子さまの「分別」について今まで以上に配慮いただきたいと思うわけです。
ネットワーク社会、IT社会といった表現が良いのか分かりませんが、情報が無尽蔵に流通している中で、正しい情報をいかに適切に選びとっていくのかが今後の社会人、ビジネスパーソンとして重要な能力の1つとなることは確実です。そのための社会勉強という失敗を繰り返しても余りある無駄な情報が氾濫している事実について、大人が子どもに正しく伝えていく必要があるでしょう。
最後に、職業訓練プログラムの講師の機会をいただきました協会、また関係者の方々に謝辞を申し上げます。「既卒・アルバイト経験6年まで」であれば一般企業に正社員内定できるという事実を今回の講座を通して確認することができましたので、また機会があれば「就職するための技」を提供していければと思います。
受講生の皆さん、内定で悩まずにさっさと入社して下さい。みなさんが望む「活躍している姿」は入社してから少し後に得られるものですから。(荒川大)
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