未来の姿を描くことで、ギフト市場を活性化させよう:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
17兆円とも言われるギフト市場。かつての儀礼的な贈り物は減り、パーソナルギフトが増えている。人はなぜ贈り物を買うのか。筆者は「未来シーンを描くこと」で消費者の購買意欲を喚起してはどうだろうかと説く。
プレゼントの“4P”
最初のPは「プロセス」。贈る人はまず、「相手は何を贈られたいか」を調査する。なるべく相手に悟られないように聞き出す。そこで得られたキーワードからギフト選定に入るが、以前に相手から贈られたモノとの“差し引き”も考えないといけない。ここがビミョウだ。
そこで2つ目のPは「プライス」となる。贈り物にも分相応の価格、目的相応のコストがある。高価な犠牲を払っても、「あなたとはお友だちよ」では思わぬ愛憎悲劇も起きかねない。見返りと釣り合いはあるものだ。
だから3つめのPは「プロミス」。贈り物をする代わりに、僕に愛をくれ、ウチに発注してくれ。これを醜いというなかれ。ギフトは“約束”でもあるのだ。婚約指輪は結婚の約束、結婚指輪は裏切らない約束、生命保険の掛け合いは暗黙の了解である。
最後のPは「プライド」。贈り物とは相手を尊重すること。贈る人自身のメンツも立て、贈られる人への尊敬を表す。特にメンツを重んじる国民性の中国人には大切な習慣。これを「メンツギフト」という(メンズギフトではない)。
贈るたびに増えるものがある。それは与える喜び、与える満足である。与える自分への愛や自負である。贈る行為は、自分へのご褒美にもなるし、社会を愛することにつながる。だからこそ寄付社会の米国は衰退せず、メンツ国家中国は栄える。儀礼ギフトが縮小した日本がデフレなのは偶然だろうか。
そう、私たちに欠けているものがある。それはプレゼントを洞察するイマジネーション。ネットのおかげで商品やギフト情報が増えた半面、消費者のプレゼント・イマジネーションは萎えてしまった。いや仕事にも、人間関係にも、愛にも、平和にも、イマジネーションが足りなくなった。だからこそクリスマスにはたくさん贈り物をして、自分にも、相方にも、社会にも愛を捧げませんか。
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