コラム
なぜハンブルクは環境政策に熱心なのか:松田雅央の時事日想(5/5 ページ)
環境への取り組みが評価され、EUから「2011年EU環境首都」に選ばれたドイツ・ハンブルク。ドイツの北部に位置するハンブルクは、なぜ環境政策に力を入れているのか。その背景には商工会議所などの存在が欠かせないようだ。
規制よりも協調
そもそも、ハンブルク市はなぜ環境政策に熱心なのか。環境課のクナール氏に尋ねたところ、理由の1つとして市議会の独特な政治背景を解説してくれた。
ハンブルク市議会は保守CDU(キリスト教民主同盟)と緑の党が連立するという、極めて珍しい状況にある。国会レベルで考えると、経済政策に重きを置くCDUと環境重視の緑の党は水と油の関係にあり、連立はちょっと想像できない話。ハンブルク市の独特の政治環境が、経済発展と環境保全の両立を目指す上でプラスに働いているのは間違いない。
環境パートナーシップは、自治体と企業の信頼関係の上に成り立つ自由意志による協定だ。一般的に、自治体はまず規制によって環境政策を進めようとするが、規制を好む企業はないし強制だけで企業側の積極的な環境対策を引き出すことはできない。パートナーシップ参加によって得られる名誉やPR効果といった無形のメリットに加え、事業費節約の効果が出やすい省エネに焦点を当てるのも賢い手法である。
規制ではなく刺激を与えることで企業のモチベーションを高め、自治体と企業が歩調を合わせながら環境・エネルギー・気候保護に取り組む工夫。これこそが環境パートナーシップの本質である。
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