コラム
ケンメリ、全日本自動車ショウ、花形モーターズ……かつてクルマの歴史は現代史だった:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
近年では若者離れが叫ばれているクルマだが、かつては文化をリードする役割を担っていた。クルマの歴史と戦後史とを重ね合わせた『クルマでわかる!日本の現代史』の著者である志村昌彦さんに、クルマが憧れの対象だった時代のことについて聞いてみた。
飾りじゃないのよ表紙は
さて、『クルマでわかる!日本の現代史』には3人の著者がいる。クルママニアの大貫直次郎さんがまず草稿を書き上げ(900ページくらいあった)、光文社の坂口貞雄さんがエピソードごとに一般人視点(CMが思い出せるかどうか)で掲載のマルバツを付けた。そして、フリーエディターでパトカー好きの志村さんが2人のブリッジ役となった。
読者第1号は坂口さん夫人。刷り上がった本を手にした夫人は言った。
「これなら私も読みたい」
これまで坂口さんが持ち帰るビジネス書は1冊も手にしたことがなかった。しかし、『クルマでわかる!日本の現代史』は本のデザインから異なっていた。帯でクルマへの憧憬を喚起、カバーでは歴史を感じさせる言葉を満載させ、本の表裏にはホンダNSXのカットモデル画像を入れるなどマニア心が詰まっている。“文化史”を意識して作った狙いが当たったことに、3人の著者は「やったね」と言い合った。
自動車本といえば、起業者主体の会社物語か『間違いだらけのクルマ選び』(徳大寺有恒著、1976〜2006年まで毎年刊行)に代表されるバイヤーズガイドばかり。
だが、『クルマでわかる!日本の現代史』にはアラカンにとっては語れる自分史、アラサーにとっては新鮮な現代史が詰まっている。なぜ昭和のクルマは語れるのに、平成のクルマは語れないのか、そんなことも想像しながら読んでほしい。
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