100円寿司時代に高級路線で成功した理由とは?――金沢まいもん寿司・木下孝治氏:嶋田淑之の「リーダーは眠らない」(5/5 ページ)
ここ数年、“100円寿司”と呼ばれる低価格路線の大手回転寿司チェーンが、大幅にシェアを伸ばしている。そんな中、回転寿司でも高級路線をウリにして、成功している店もある。その代表である金沢まいもん寿司の強さの秘密を、経営するエムアンドケイ代表取締役の木下孝治氏に尋ねた。
日本回転寿司協会の会長に就任
2011年1月、高級回転寿司チェーンを中心に「一般社団法人 日本回転寿司協会」が設立され、木下さんが初代会長に就任した。
設立趣旨についてはリンク先をご覧いただきたいが、木下さんの個人的な思いとしては、協会を通じてどんなことを実現していきたいのだろうか?
「いわゆる100円寿司チェーンの売り上げが伸びている一方で、グルメ系の高級回転寿司チェーンは次々につぶれるなど淘汰(とうた)が進んでいます。だからこそ、そうした高級回転寿司の経営を強化していきたいと考えています。中堅・中小レベルの企業というのは、1社単独では情報収集にも限界があります。協会を作り、そこで相互に情報を交換し、全体として共有化できれば、そうした隘路(あいろ)を克服することも可能になるのではないでしょうか? 私はそこに期待しています」
金沢まいもん寿司としても、情報力の強化によって自社のサバイバルを図っていることはすでに述べた通りだが、これを高級回転寿司“業界”にまで広げて、全体としての利益を増していこうということだ。
協会設立を1つの契機にして、回転寿司の世界には変革が起きるのだろうか? 我々、寿司を愛してやまない日本の生活者にとっても、この動きは要注目だろう。木下さんの手腕に期待したいものである。
嶋田淑之(しまだ ひでゆき)
1956年福岡県生まれ、東京大学文学部卒。大手電機メーカー、経営コンサルティング会社勤務を経て、現在は自由が丘産能短大・講師、文筆家、戦略経営協会・理事・事務局長。企業の「経営革新」、ビジネスパーソンの「自己革新」を主要なテーマに、戦略経営の視点から、フジサンケイビジネスアイ、毎日コミュニケーションズなどに連載記事を執筆中。主要著書として、「Google なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか」、「43の図表でわかる戦略経営」、「ヤマハ発動機の経営革新」などがある。趣味は、クラシック音楽、美術、スキー、ハワイぶらぶら旅など。
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