被災地支援で大切な姿勢とは――阪神大震災でのボランティア経験から(4/4 ページ)
阪神・淡路大震災のとき、全くの素人で、ボランティアに伺いました。これから「人の役に立ちたい」と考える方のご参考になればと思い、その時の経験談を、かつて被災者の立場だった西宮市議会議員今村岳司氏のブログとともに紹介します。
まず自分の身を何とかすることが大事
西宮市は1日で離れ(ややボランティア過剰気味でした)、次の日たどりついたのは兵庫区。震災で職員や住人を失った「神戸母子寮」が僕が最後までいることになった働き場所でした。大学で子どもたちと野外活動をするサークル「駒場子ども会」に入っていたため、大学に戻らなければいけないスタッフと入れ替わりでの配属。ここで経験したことは、言い切れないほどたくさんありますが、今回の記事の趣旨とは異なりますので割愛します。
1つだけ。僕が出向いた、震災より1カ月ちょっと後。
被災者自身による自家放火が相次いでいる時期でした。「自分の家の半壊を全壊にすることで、保険の払い戻しを多く受けたい」という意図の元。。。
本当につらい気持ちは分かるものの、二次災害につながりかねない行為ですので、被災地近辺(甚大な被災地ではない被災地の方が余計危険です)の方はくれぐれもご用心いただきたいと思います。夜の自家放火をさせないようにするため、昼は母子寮での労働、夜は夜警と、フルで働き、平均睡眠時間は2時間程度でした。
1週間続けた時に、疲労による高熱。体や気分はピンピンしており、一緒にいたスタッフから「体熱っぽいよ」と指摘されたため、体温を測ったら40度近く。熱を見た瞬間に倒れ、1日寝込みました(苦笑)。
今は専門家によるボランティアが必須ですが、しばらく経てば、素人ボランティアも必要な時期が来ると思います。その時、気持ちのあるみなさん、ぜひ伺ってほしいんです。
ただし、もちろん「人から感謝されることの楽しみ」より、「実際の自分が役に立てる」という推測と覚悟を持ち出向き、加えて被災地では、まず自分の身を自分でなんとかする(そのために睡眠も必要)、この姿勢で臨んでください。
最後に、西宮市議会議員今村岳司氏のブログより印象的な部分を抜き出してご紹介します。
政府の大規模な財政出動に理解を示すこと、増税を受け入れること、節電など、政府の呼びかけに応じて、不便を受け入れること、被災者のいら立ちや要望をただ受け入れること、プロが呼びかけるボランティアや募金に参加すること。
これくらいが関の山なのです。
絶対にこちらから安否確認の通信をしないことです。
安否確認したいのは被災していない側です。
被災していない側が安心したいだけです。
安否確認などされても被災者には何の益もありません。
安否確認で電話することは、通信が復旧しきっていない情況で、被災者でない側が安心したいがために通信を使用する行為です。
そして我々にできることは、メディア報道の嵐が過ぎても、被災地のことを半年、1年と「気にかけておく」こと、これだけはみなさん、忘れずに。。。(寺西隆行)
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