医師の8割、「被災地の医療支援に行きたい」
安定した生活を送る上での基礎となる医療。被災地の医療現場に支援に行ったという医師は3%だったが、8割の医師は「できれば行きたい」と考えているようだ。QLife調べ。
安定した生活を送る上での基礎となる医療。その現場は東日本大震災によって、どのような影響を受けているのだろうか。
QLifeの調査によると、東日本大震災の影響で不足が心配な医薬品・材料があるという医師は72%。特に「チラーヂン※」の供給を心配する人が30.1%と圧倒的に多かった。あすか製薬では「チラーヂンS錠」を福島県のいわき工場で生産していたが、被災で一時供給がストップしていたことを憂慮しているようだ。
「医薬品・材料の供給不足以外に、自身の診療現場で東日本大震災の影響で今後心配なこと」を聞くと、「停電による機器/カルテ/レセコンなどの使用不能」(12.9%)や「停電による診療時間の制限」(11.2%)など停電の影響を心配する声が上位に入った。以下、「放射能に関する問い合わせが増加」が8.0%、「患者の減少(収入の減少)」が6.2%、「患者の増加(症状悪化、被災地や停電地域から移送など)」「水や食材の入手困難」がそれぞれ5.5%で続いた。
具体的には、「MRIなどの機器は3時間の停電でも、電源を落としたり復旧作業を行うのに数時間以上かかるため必要な検査ができない」(病院/東京)、「水の放射線汚染に伴っての人工透析患者への影響、および安全な病院食の提供など」(病院/埼玉)、「慢性疾患であまり投薬の意味のない患者が、多量の薬を要求してきたケースがすでにあった(今後薬がなくなるのが不安と言って)」(病院/神奈川)などがあった。
医師の8割、被災地の医療支援に行きたい
「被災地の医療現場に支援に行きたいですか?」と聞くと、「すでに行った、または具体的に行く予定がある」が3%、「具体的予定はないが、行こうと考えている」が9%、「できることなら行きたいが、事情で行けない」が68%と、8割の医師は被災地の医療支援に行きたいと考えているようだ。
「被災地の医療支援のためにすでにやっている、あるいは今後やろうと考えていること」では、「義援金・寄付」(83.3%)や「節電」(55.2%)など一般と同じことが上位。以下、「長期処方の制限」が27.6%、「被災地からの患者受け入れ」が21.9%、「メール・電話での相談対応」が9.5%、「被災地へ出張した同僚や医療施設の分まで業務」が9.0%で続いた。
インターネットによる調査で、対象は東北6県と茨城県を除いた全国の医師402人。調査期間は3月24日から4月2日。
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