“食べ方”という戦場を創造――シェア95%以上、雪印「さけるチーズ」:コンビニ、ヒット商品の理由(2/2 ページ)
コンビニのおつまみ売り場に並べられている「さけるチーズ」。このマーケットで雪印は95%以上のシェアを持っている。なぜ、雪印はこの分野で独走できているのだろうか。
チーズ市場に新たな価値を創造
まとめると、雪印の「さけるチーズ」がコンビニでヒットしたポイントには、「商品の新価値創造」があると言えるだろう。「さけるチーズ」は食シーンにこだわって、商品の新価値を創造し、消費者に「そんな考え方があったのか!」と驚きを与え、ブランドイメージや商品イメージを刷り込んだ成功例なのである。
「チーズが裂ける」という現象自体は珍しいことではなく、恐らく競合他社も知っていたことだろう。しかし、当時のチーズ市場は「味」「価格」「顧客層」といったポイントが戦いの中心だった。雪印はそこに「食べ方」というまったく新しい戦場を作り上げたのである。そして、「さけるチーズ」の商品化に成功し、そのイメージを消費者に定着させられたことが成功要因と言えるだろう。
著者プロフィール:笠井清志
JR東日本リテールネット・コンビニエンス営業部長。ゼネコン、コンビニチェーン本部、コンサルティング会社を経て現職。小売業・サービス業を中心に多店舗展開チェーン(特に駅ナカ・空港等の限定商圏マーケティング)を中心に活動。NEWDAYSが2007年度から3年連続で1店舗平均日商でセブン-イレブンを抜いた実績のサポートを行う。月刊コンビニ(商業界)での執筆、海外メディア「Financial Times」等取材実績多数。著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。経営相談・講演・執筆等の依頼はこちら(kiyoshi1025@gmail.com)まで。
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