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なぜ新聞が面白くないのか――それは人事が“残念”だから烏賀陽弘道×窪田順生の“残念な新聞”(4)(3/4 ページ)

全国紙の新人記者の多くは、まず地方に配属される。そこでいわゆる“察回り”を経験するわけだが、経験の浅い彼らはどのようにしてネタをつかんでくるのか。地方からあまりスクープが出てこない背景には、新聞社の人事的な問題が潜んでいるのかもしれない。

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盗用記事が絶えないワケ


記事を盗用する記者が後を絶たない(写真と本文は関係ありません)

窪田:記事を盗用する記者が、後を絶ちません。なぜこうしたことが起きるかというと、モラルの問題というよりも、組織の人材教育に問題があるのではないでしょうか。例えば京都の祇園祭りのことを書くとなると、上司は「毎年のものだから記事データベースを見て、それを参考にしなさい」などと指導する。

 もちろん取材もしていると思うのですが、1〜2年生記者は過去記事をかなり参考にしながら、記事をまとめる。過去記事を当たり前のようにコピペするわけですが、その後も「決まりもののネタだったら過去記事を参考にし、コピペしよう」と考える記者も多いかもしれない。

烏賀陽:なぜそういうエラーがなくならないかというと、エラーを見抜けない人が上司=管理職になっているからです。支局のデスクやキャップも数年でクルクル替わっているので「この記事、どこかで読んだことあるなあ」という指摘が出にくい。マネージメント能力が落ちているので、エラーが発見しにくくなっているんですよ。

 マネージメント能力が落ちている理由として、今の管理職はバブル入社が多いということも挙げられる。僕の同期入社は38人だったが、バブルのときには200人以上いた(笑)。ぎゅうぎゅうなんですよ。支局のデスクが半年で異動になることもあるそうです。しかし半年程度では部下の書き癖も覚えられないし、「こいつの記事は危ないな」という感触すら分からない。

 地方支局の管理職と話をすると「もう管理なんてできません」と嘆いている。「最低限を取りこぼさないようにするだけで精一杯」といった感じでした。考えてみると、そうした支局で教育された記者が、10年後に官邸などを担当すると「えらいこっちゃ」と思うわけですよ。

窪田:ものすごく恐いですね。

烏賀陽:その時代が来たときには「いよいよ」かもしれない。

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