なぜ新聞が面白くないのか――それは人事が“残念”だから:烏賀陽弘道×窪田順生の“残念な新聞”(4)(4/4 ページ)
全国紙の新人記者の多くは、まず地方に配属される。そこでいわゆる“察回り”を経験するわけだが、経験の浅い彼らはどのようにしてネタをつかんでくるのか。地方からあまりスクープが出てこない背景には、新聞社の人事的な問題が潜んでいるのかもしれない。
窪田:どうしてそんなことになってしまったんでしょうか?
烏賀陽:全国には47都道府県しかないのに、1990年前後には新卒採用が250人ほどに膨れ上がった。新卒者を採用し過ぎという懸念もあったが、当時の経営陣は「大丈夫だ。バブル経済が続けば、支局も増えるはず。そして紙面も増えるから、心配いらない」と言っていた。
しかしご存じのとおり、バブル崩壊後の日本経済はこのありさま。人材はだぶつきにだぶついている。団塊世代のだぶつきが終了しても、次にバブル組のだぶつきが待っている。
40歳前後の記者というのは上層部=経営陣と現場の記者の間をつなぐ、非常に重要なポジションなんです。彼らが機能せずに腐り始めると、組織全体が弱体化してしまうので、なんとかしなければいけないでしょうね。
→続く。
2人のプロフィール
烏賀陽弘道(うがや・ひろみち)
1963年、京都市生まれ。1986年に京都大学経済学部を卒業し、朝日新聞社記者になる。三重県津支局、愛知県岡崎支局、名古屋本社社会部を経て、1991年から2001年まで『アエラ』編集部記者。 1992年にコロンビア大学修士課程に自費留学し、国際安全保障論(核戦略)で修士課程を修了。1998年から1999年までニューヨークに駐在。 2003年に退社しフリーランス。著書に『「朝日」ともあろうものが。 』(河出文庫)、『Jポップとは何か―巨大化する音楽産業 』(岩波新書)などがある。
窪田順生(くぼた・まさき)
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、フライデー、朝日新聞、実話紙などを経て、現在はノンフィクションライターとして活躍するほか、企業の報道対策アドバイザーも務める。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。著書に『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術 』(講談社α文庫)などがある。
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