花粉症、患者視点に立てば治りませんか?:郷好文の“うふふ”マーケティング(2/2 ページ)
この時期になると悩まされるのが花粉症。街中でマスクをしている人をみかける機会も増えているが、どのように対処すればいいのだろうか。万年花粉症の筆者がさまざまな対処法を試してみた。
背骨で説明する花粉症メカニズム
そもそも花粉症とは免疫機能のバランスの崩れ。体外から異物(花粉やほこりなど)が入るのを身体が排除する免疫機能が原因で、何かのきっかけでその排除が過剰に働いてしまうと、クシャミや鼻づまり、喘息を引き起こす。
だから耳鼻咽喉科では「何がアレルゲン(抗原)か検査しましょう」と言われるのだが、「知ってどうするの?」という疑問が解けなかった。結局投薬でしょ、と。だが、松本整体操法室の松本英樹さんの記事「人はなぜ花粉症になるのか?」にはヒザ打ちした。
「春の訪れとともに、背骨は腰椎を出発点にして徐々に上に向かって椎骨が緩んでいきます。その際に、上部胸椎や頚椎が硬直していると、椎骨の変化が途中で止まってしまいます。簡単に言うと、ドミノ倒しが途中で止まってしまうような状態です」
腰椎は背骨の腰の部分、胸椎は胸、頚椎の背骨。背骨は春になると緩もうとする。だが曲がった背骨部分でつっかえる。そこでクシャミという刺激、鼻水や涙という排泄によって硬直した背骨を緩ませようとするが、それが過剰になるのだという。
さてこれらの実践、誰にも効果があるのか? 整体だけで治るのか? 薬があれば、食物療法もある。私には判断ができない。誰に聞いたらいいのかも分からない。そう考えると、2つ疑問が湧いてきた。「なぜ花粉症の総合治療機関がないのか?」「なぜ予防は商売にできないのか?」
花粉症撃退の理想型
世に伝わる花粉症退治療法は「診療」「薬」「食事」「整体」「運動」「青汁」「ティッシュ」とバラバラ。たぶん症状に合わせて最適な組み合わせを選ぶことが必要だ。それなら医院や薬局、整体やショップと複数の診療機能がある“花粉症モール”があればいい。身体は背骨で腰から胸、胸から首、首から口へつながっているのだから。
だが、西洋医学と東洋医学はお互いに垣根を作り合い、薬局と医院にも綱引きが見える。勧める薬も食事もバラバラ。また予防が大事という割に、医院での指導が口頭だけなのは、診療点数が低いからだろう。定期点検では収入が増えない。予防こそヘルスケアサービスの根幹なのに、どうも患者視点が薄い。
顧客満足の観点から考えると、健康を維持する満足度と対症療法で抑えるつらさ、どちらが患者から感謝されるだろうか。この国民病には真のサービスがまだない。顧客視点に立てば、診療サービスが同質競争から抜け出せる大きな潜在需要が眠っているというのに。
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