部品をどう調達すればいいのか?――バイヤーたちの東日本大震災(2/2 ページ)
先日、「震災に対して、現場バイヤーがどのような対応をしたか」という会に参加してきました。守秘情報もあるのであまり詳しくは書けませんが、その中でいくつかの気付きがありました。
阪神・淡路大震災からの学び
一般論としてはこのような内容でしたが、私が特に関心したのは次の2点でした。
「過去の震災、事故から学ぶ能力の高さ」
今回は関東だけでなく、関西のバイヤーも参加されていたのですが、阪神・淡路大震災やほかの震災、事故の経験を生かした対応策が効果的だったようです。
例えば、震災後の通信手段が非常に限定的であったわけですが、阪神・淡路大震災後に衛星電話を拠点ごとに準備している企業は「これが非常に効果的だった」と話していました。また、ある企業では阪神・淡路大震災の経験を生かし、BCPマップ(サプライヤの拠点をリスト化し可視化できるもの)を作成し、見える化することで情報収集や情報整理に役立てていたとのことです。
このように特に関西の企業を中心に、日本企業が過去の震災や事故から学ぶ能力の高さに改めて驚きました。
「無理をしないことが重要」
「『情報収集』や『ボトルネックへの対応』において無理はしない方がいい」ということをおっしゃった方がいらっしゃいました。
私はこの意見に共感を覚えました。無理をして対応することで既存のサプライヤとの関係性にひびが入る、そこまでいかなくても将来に何らかの禍根を残す、こういうことが起こりやすい時期です。
日本企業は多かれ少なかれジャストインタイム生産方式を採用しています。ジャストインタイムは何らかのトラブルがあった時にラインを止めるのが前提です。
そして、そのトラブルの原因を見える化し、徹底的に原因を直していく。これが基本的な考え方です。つまり、無理をして生産を続けるよりも、復旧に向けてすべての力を注ぐのです。その通りだと思いました。
これは経済活動全般に言えることかもしれません。我慢は必要、節約や節電も必要。でも無理や過度な自粛からは何も生まれません。みなさんの話を聞き、改めて日本企業の能力の高さと学習力を感じるとともに何か勇気をもらったように感じました。(野町直弘)
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