残念+悲しい新聞の、悩ましい問題とは:烏賀陽弘道×窪田順生の“残念な新聞”(9)(4/4 ページ)
ジャーナリストの烏賀陽弘道さんと窪田順生さんによる対談連載「残念な新聞」もとうとう最終回。これまで新聞や記者のあり方などを中心に語り合ったが、最後にこの業界の今後を占ってもらった。
何をやればいいのかが分からない
窪田:個々の新聞記者を見ると、理想に燃えている人が多い。その理想が、会社に入った瞬間、間違った方向にされたりする。捻じ曲げようとする人がいるから、紙面がつまんなくなるんですよ。
何度も言いますが、記者に経営者をやらしてはいけない。ジャーナリストというのは一匹狼タイプが多い。取材して記事を書いて何かを批判、追及しようという人間が、人や金の管理などできるわけがない。管理する人は管理のエキスパートに任せればいいんですよ。
僕がいたときにも「人事交流」とかいって、SEの人に記者をやらせていましたが、なんだか痛々しかったですよ。
烏賀陽:ひどいなあ。僕の友人でも、海外で支局長を経験したのに、帰国後は異動で広告営業をやらされた人がいる。
窪田:普通の企業なら仕方がないかもしれないけど、まがりなりにも「報道機関」をうたっているわけですから、そういう人事は損失だと思うんですけどね……。
烏賀陽:新聞社が何をやめればいいのか、というのは分かるんですよ。しかし何をやればいいのかが分からない。本当に悩ましい問題です。
→対談連載、終わり。
2人のプロフィール
烏賀陽弘道(うがや・ひろみち)
1963年、京都市生まれ。1986年に京都大学経済学部を卒業し、朝日新聞社記者になる。三重県津支局、愛知県岡崎支局、名古屋本社社会部を経て、1991年から2001年まで『アエラ』編集部記者。 1992年にコロンビア大学修士課程に自費留学し、国際安全保障論(核戦略)で修士課程を修了。1998年から1999年までニューヨークに駐在。 2003年に退社しフリーランス。著書に『「朝日」ともあろうものが。 』(河出文庫)、『Jポップとは何か―巨大化する音楽産業 』(岩波新書)などがある。
窪田順生(くぼた・まさき)
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、フライデー、朝日新聞、実話紙などを経て、現在はノンフィクションライターとして活躍するほか、企業の報道対策アドバイザーも務める。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。著書に『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術 』(講談社α文庫)などがある。
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40歳で、朝日新聞社を退職した烏賀陽弘道氏。その後はフリージャーナリストとして活躍してきたが、雑誌にコメントしただけで損害賠償を請求されることに。彼の人生を振り返るとともに、オリコンそして裁判所に“勝利”した男の声を記録した。
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