大企業の正社員、3割は会社を辞める:ちきりん×城繁幸の会社をちゃかす(1)(7/7 ページ)
東日本大震災の発生以降、「今後どのように働いていけばいいのか」と考えるビジネスパーソンも多いのでは。ポスト大震災の働き方について、人気ブロガーのちきりんさんと人事コンサルタントの城繁幸さんが語り合った。
未来がある若者にはつらい会社
城:このタイミングで辞退するのは難しいですね。大学を留年すれば、学費を支払わなければいけません。しかも来年就職できるかどうか分からない。それだったら正社員として職歴を積んで、数年後に転職を考えてもいいかもしれない。
ちきりん:非日常の対応を学ぶという意味ではいい経験が積めるでしょうね。そうした経験は財産となり、次の会社に行っても役立つと思います。
でも東京電力はこの先10年、ひょっとしたら20年間くらい利益が出せないかもしれません。株式市場で東京電力株が売られているのは会社が潰れるかもしれないということより、今後、相当長い間、配当できなくなる可能性が高いからではないでしょうか。電力株は一般に「配当株」とも言われていて、東京電力株の配当もかなり高かったのですが、配当がなくなれば投資家の電力株の保有メリットはなくなります。そのために山のように売りが出ているんだと思います。
だって東京電力が3年後に利益をだして、それを株主に配当するなんて考えられないでしょう?……というか世の中が許さないですよね。でもこれから20年間利益を出せない会社で働くというのは、未来がある若者にはつらいでしょうね。後始末だけをする20年、というキャリアというのはどんなもんなのかなと思います。
→続く。
プロフィール:城繁幸(じょう・しげゆき)
人事コンサルタントを務めるかたわら、人事制度、採用などの各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。著作に『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか−アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』ほか。
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プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。近著に『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」
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