コラム
一見、“戦略的”な人材育成の危うさについて(2/2 ページ)
あるべき人材像や必須スキルを掲げて、社員にその習得を求めるような人材育成がしばしば行われている。しかし、各々の弱みに焦点を当てた施策をとることは、組織のパフォーマンスを高めることに本当に貢献しているのだろうか。
大事なのはバランス
かと言って、弱み(無理解や未熟さ)に焦点を当てて、底上げ的な育成を行うことの必要性が低下しているわけではありません。ビジネスに必要な心構えやスキル、社会が求めている基本的な振る舞いや姿勢、組織を円滑に運営するための原則の理解や役割行動といったものは、必須のこととして全員に要望すべき内容でしょう。しかし、それで多様化する社会的要請に応じられるか、あるいは競争力の観点から十分なのかどうか。
恐らくは、それぞれの強い部分、良いところを自覚させ、学びや鍛錬の機会を用意し、その自主的で積極的な利用を徹底して支援する、そして各々が独自の強み・得意を持てるようにするといったスタイルにシフトしていかざるを得ないのでしょう。この2つのバランスをどうとるか、強み伸長の仕組みをどのように作るか、これが人材育成における今日的なテーマと言えます。(川口雅裕)
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