『アメトーーク』はなぜ流行る?――テレ朝に学ぶコンサル的発想(前編):「半農半X」 ビジネスコンサルタントと、農業と……(3/3 ページ)
「家電芸人」「ガンダム芸人」「中学の時イケてない芸人」などのトンデモ企画を矢継ぎ早に投入し、“バラエティ不毛の時代”の現在において、1人気を吐くバラエティ番組『アメトーーク』。その魅力はどこにあるのだろうか。
『アメトーーク』でマーケティングを学ぶ?
……こんな感じで、私はいつも『アメトーーク』に大笑いし、感心しながら見ている。あまりの企画の面白さに悔しくてたまらず「自分ならこんな企画をやりたいなあ」「こんな風にふくらませたら面白いだろうなあ」などと、テレビを見つつも同時に自分のビジネス発想のトレーニングとして利用している。
「消費者をファン化し、次に固定化させる」。これは商売の鉄則であるが、『アメトーーク』は特にファン化に優れており、同世代に的を絞ったことでバイラル効果も著しく、翌日の職場、友人との会話、ネット上での波及効果を見るにつけ、その戦略性は参考にせずにはいられない番組なのだ。
『アメトーーク』に限らず、近年バラエティに個性と勢いのあるテレ朝。制作にあまりお金をかけられない時代背景を逆手にとってマーケティングに磨きをかけており、私個人的にはいろんな芽を感じている企業の1つなのだ。
コストをかけないで消費者にインパクトを与える方法、ファンの創出から固定化までの流れ、外さないテーマ選定……、テレ朝の戦略とは、実はテレビ業界にとどまらず、ほかのビジネスにも十分通用あるいは応用できるものであると、コンサルタント的な視点でずっとウォッチしているのだ。(残念なことも多く、中編で)。
最近、私の周囲ではマーケティングに関する非常に根本的な話題が多い。「マーケティングを学ぶにはどんな本を読んだらいいんですか?」とか、「荒木さんのマーケティングは大企業に通用するんですか?」とか。そんな言葉を聞くたびに思うことがあり、それは昔からずっと感じ続けていること。それは……。
マーケティングを本で学ぶ前に「マーケティングとは何か?」を知らなければ始まらない。大企業で通用するマーケティング? それは知らない。大企業で通用するかどうかを知る前に「消費者に通用するかどうか?」を徹底的に考えることの方が先である。
大企業や有名企業のマーケティングの内実についてはいろいろ耳にするが、「マーケティングを高度化することが目的化」していたり、「社内プレゼンスを高めるための部署として形骸化」していたり、いかに売るかという本筋を忘れているケースが結構多い。
先日、40歳の大学の同級生から電話がかかってきた。会社の部署異動でマーケティング部門に配属されることになり、私にマーケティングを教えてくれないか? というものだった。
「マーケティングって何? どうすればいいの?」
ずっと総務・人事畑を歩いてきており、もちろんマーケティングの知識も経験もなく、想像したこともなかった異動であるという。ちなみに彼はとある業界のトップ企業に勤めており、極端な一例に過ぎないが、これもまたニッポン企業のマーケティングの一例である……。彼が発したマーケッ!ティングという初々しい発音には、思わず笑みがもれてしまった……。
本で学んでもいいし、大企業で通用するような理論を学んでもいいが、基本的に正解はない。正解がない、ということを知らないままでは、何も始まらない。私はマーケティングという概念をきちんと学んだ経験はなく、コンサルタントとして企業が必要であろう“売れるコト”を真剣に考え抜いているだけであり、そもそも自分がコンサルタントかどうかも定かでない。
身近なテレビを題材に書いた今回の記事は、以前に同じような雰囲気で書いた「光GENJIは不運だった。ジャニーズから学ぶマーケティング的発想」と対をなしている。
さて、今回褒めちぎったテレ朝だが、やり過ぎると必ずほころびが出てくるもので、そこに気付いたならいち早く修正をしなければいけない。テレ朝は本当は気付いているのに、売れてしまったために戦略が変えられないのか? 中編ではそんなお話を……。(荒木News Consulting、荒木亨二)
→家電芸人、徹子の部屋芸人の迷走――テレ朝に学ぶコンサル的発想(中編)
※この記事は、誠ブログ「【テレ朝に学ぶコンサルタント的発想 その1】 アメトーークはなぜ流行る?」より転載しています。
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