コラム
路面電車でモーダルオプティマイゼーション――ヤマト運輸&京福電気鉄道(2/2 ページ)
トラックや航空貨物から鉄道、船などより環境負荷の小さいものに物流手段を変更することをモーダルシフトという。しかし、それぞれの物流手段には強み弱みがあり、元々の物流手段が選ばれているのにもそれなりの理由があるため、モーダルシフトは容易には進まない。今回は新しい物流手段の特性を生かしてモーダルシフトの壁を乗り越えたヤマト運輸の例をご紹介する。
路面電車で新たな輸送モードが?
ヤマト運輸によると、同社はすでに物流ターミナル間の鉄道輸送は一部で実施しているが、物流ターミナルから宅急便を集配する営業所間でのモーダルシフトは初めてとのことだ。また、宅配便の輸送に路面電車を使うのは、競合他社も含めても今回のケースが初めてのようだ。
路面電車の新設が進めば、トラックや鉄道、船、飛行機にない上記の特性を持った新しい輸送モードが登場することになる。それぞれの輸送モードに一長一短あることや、輸送には効率性、地球環境負荷の軽減のほかに、納期や納品タイミング、小回りといったことも求められることから、1つの輸送モードにシフトするモーダルシフトという考え方では上手くいかない。無理にモーダルシフトを押し進めようとするよりも、複数の輸送モードを組み合わせ、センターやデポといった輸送拠点への輸送と戸配といったそれぞれの輸送における制約に応じて、それにあったモードを使い分けるモーダルオプティマイゼーション(最適化)という考え方に立った方が、モーダルシフトは意外と普及するかもしれない。(中ノ森清訓)
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