帝国データバンクは6月15日、広告関連業者の倒産動向調査結果を発表。それによると、2010年の倒産件数は過去最悪だった2009年を8.5%下回る236件だったものの、3年連続で200件を超える高い水準となったことが分かった。
一方、負債総額は逆に1.2%増加し、373億9400万円と過去最大となった。2010年に発生した負債額10億円以上の倒産は6件で、2009年の7件に次ぐ高水準。
最も負債額が大きかったのは、10月に破産した中央宣興で76億8100万円。ピークの1991年2月期の売り上げは376億2100万円だったが、バブル崩壊以降の長期にわたる市況の低迷から企業の広告宣伝費が減少、受注環境が悪化し2010年2月期の売り上げは202億5800万円にまで落ち込んでいた。
震災の影響はこれから
2011年の倒産件数・負債総額については、1月は前年同月を上回ったものの、その後は「テレビスポットを中心とした広告市況の好転」(帝国データバンク)で大幅減。東日本大震災が発生した3月以降もその傾向は続いていたが、5月には再び倒産件数が増加に転じた。負債総額は減少しているため、体力のない中小業者から震災の影響が深刻に現れているようだ。
だが、その多くは受注減少や業績不振など、震災以前から倒産の兆候が出ていた企業で、震災以降に実質的な倒産状態となったケースで、震災との因果関係が確認できるケースは現状2件にとどまっている。
帝国データバンクでは「東日本大地震やそれに伴う原発問題の長期化などから、各種イベントが中止を余儀なくされているほか、広告主の出稿マインドに与える影響も懸念されている。4月のテレビスポット市況は、震災前からの発注分もあったことからそれほど落ち込まなかったのに比べ、5月は前年比で9割を切ったと言われる。入金などのサイクルを考えると、こうした状況が広告関連業者の資金繰りに本格的に影響を及ぼし始めるのはこれからと言えそうだ」とコメントしている。
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