東日本大震災以後、交通の混乱などで従業員がオフィスに出勤できない時でも業務を停滞させないようにするため、在宅勤務制度への関心が高まっている。
矢野経済研究所の調査によると、在宅勤務制度を導入している企業のうち、「東日本大震災以降、対象範囲を拡大した」が8.1%、「対象範囲を拡大したい」が24.4%と32.5%が拡大意欲を持っていることが分かった。
また、社外でのPCを使った業務を認めていない、もしくは特にルールを定めていない企業にも社外でのPC利用に対する意見を聞くと、「東日本大震災以降、許可するようになった」が1.8%あったほか、「ぜひ認めていきたい」(6.1%)や「できれば認めていきたい」(20.8%)を合わせると、28.7%が前向きな意見を持っていた。
社外に出ることも多い営業と違い、事務部門ではセキュリティの観点から外部からのアクセスを認めないデスクトップPCを活用した内勤がメインであった。しかし、震災時には社員が出勤できずに業務がこなせないという事態も発生した。
事務部門の外部アクセス環境構築意欲について尋ねると、「東日本大震災以前に対応済み」(5.2%)、「東日本大震災後に対応した」(2.7%)、「コストをかけても重要業務に携わる社員には、そうしたシステム環境を提供すべき」(30.5%)を合わせた38.4%が前向きであった。しかし、「コストをかけるほどの必要性があるとは思わない」が47.0%と多数派になっていた。
インターネットによる調査で、対象は売上1億円以上の600社。調査期間は2011年5月。
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