管理職の評価基準はコロコロ“変える”べき(2/2 ページ)
経営のスピードが早くなっているだけでなく、リーマン・ショックや東日本大震災など経営にかかわる大きな出来事も頻発している昨今。そんな状況に対応するために、管理職の評価基準は常に変化させるべきだと筆者は説く。
評価基準がイノベーションの芽を摘み取ってはいないか
もちろんこれらの観点から、良い評価をすることに異論はない。が、今、多くの企業に求められているのは、非連続の試み、変革や挑戦や創意工夫である。
だから、これらの評価が、イノベーションにつながるような能力や言動に優先してはいけない。優しく、楽しく、しっかりした管理職が評価されることは構わないが、そのような人たちが(現実によく見ることだが)、イノベーションの芽を摘み、機運を抑え込んで(悪気がないのが、余計に悲しいのであるが……)しまっているのであり、そんな観点の評価は二の次、三の次であるべきだ。
大切なことは、経営の優先課題を管理職の評価の観点と一致させることである。「評価基準はコロコロ変えるべきではない」「管理職のあるべき姿を定めてしまっている」という声が聞こえてきそうであるが、管理職の何を評価するかが、その時々の経営課題と乖離している状態で、誰が経営課題を力強く推進していくのであろうか。
事業環境や内部の状況が変われば、経営も変わらねばならないし、それに応じて管理職に必要な能力も言動も変わらねばならない。その時に、どんな人のどんな働きが必要か、もちろんその役職の役割や人数だって変わるのが当然である。経営の変化に対して、そこがあまりにも硬直的であることにもっと注目してもいいはずだ。
管理職という存在をヤリ玉に上げたいわけではない。評価基準をたびたび変更すると、変更時に損をする人が必ず出てくるが、それに対応していく中で、管理職層の育成が図られる点も見逃してはならないのである。(川口雅裕)
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