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コラム

ノルウェーで起きた無差別テロ! そして人は2つのことを考える松田雅央の時事日想(1/3 ページ)

ノルウェーの首都オスロで爆弾テロ、そしてオスロ郊外の小さな島で銃乱射事件が起きた。今回のような突出した事件はまれだが、ことあるごとにある疑問が欧州市民の頭に浮かぶ。その疑問とは……。

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著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 7月22日午後3時半ごろ(日本時間午後10時半)、ノルウェーの首都オスロ中心部で強力な車爆弾によるテロが発生した。その2時間後にはオスロ郊外の小さな島で開催されていた与党・労働党の青年集会が武装した男に襲われ、両事件合わせて80人近くもの死者を出した。平和なイメージの北欧を襲った惨劇に世界は恐怖している。

 容疑者の言葉から浮かび上がるのはイスラム社会との摩擦。程度の差はあるが他の西欧諸国にも似たような社会状況があり、明日は我が身に降りかかってもおかしくないという漠然とした危機感が漂う。

アルカイダの影

 7月25日の警察発表によれば爆弾テロによる死者は8人、ウトヤ島の銃乱射事件による死者は少なくとも68人に上り、行方不明者の水中捜索が続けられている。未成年の集まる集会が狙われたことが、悲しみと怒りをさらにかき立てる。

 容疑者は駆けつけた警察の特殊部隊に逮捕されたが、それまで1時間にわたり銃を乱射した。ブレイビク容疑者(ノルウェー人、32歳)は右翼思想の持ち主と伝えられる。警察官を装って集会の参加者を集め、自動小銃や短銃で発砲を繰り返した残忍な手口。爆弾テロとの関連も調査されている。

 両事件の発生当初、一部報道機関はイスラム系武装組織アルカイダの関与を伝えたが、今のところその事実を裏付ける情報はない。単なる憶測が一人歩きしたようだ。


ノルウェーの犯罪、通報済件数
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