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ライカからフロッピー、ゲームボーイまで……彼らが懐かしの製品を紙で再現するワケ:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
ライカや初代ウォークマン、ゲームボーイやフロッピーディスクなど、懐かしの製品をペーパーアートで再現するフランス人のデザイナーデュオ「Zim&Zou」。彼らはどんな目的でそんなアート作品を手がけているのだろうか。
クラフトマンシップ、それは生き方
その製本ワークショップは、美術製本の専門工房「美篶堂(みすずどう)」が主宰する手作りの製本教室。紙のシートから1冊の“角背上製本”を作る。平面の紙が立体の本になるのが面白く、仕上がりもすばらしく良い。まるで製品のような「世界でたった1つの私のノート」が2時間半でできる。
作業は紙を折って重ねて糊付けするもの。息を止めて折り、重ねる。精緻だが割と単純作業である。それがなぜこんなに楽しいのだろう? 手作りはどんなものであれ、精神を集中させ、人を無心にするからだろうか。それもある。
できあがった本をなでていて、その答えが分かった。自分は読むことや書くことが、ずっと昔から好きだったからだ。
手作りをすることは「大量生産品に飽き足らない」「自分だけのモノが欲しい」、そんな消費者的な欲求やニーズもあるだろうが、今の自分、昔の自分に素直に向き合う作業なのだ。黒とグレーのライカをヴィヴィッドなカラーリングのライカにするように。つまり、クラフトマンシップとは生き方のことなのである。
Zim&Zouのライカを気に入っても、同じものを作れる工作キットはない。なぜならあなた自身がそれを作るのだから。
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