「仕事=会社名」――この観念をなくさなければいけない:城繁幸×赤木智弘「低年収時代よ、こんにちは」(3)(5/5 ページ)
子どものころは一生懸命勉強し、偏差値の高い大学に入学する。そして卒業後は大きな会社に就職する。こうした人はこれまで“いい人生を送れる”とも言われてきたが、本当にそうなのだろうか。この問題について、城繁幸さんと赤木智弘さんが語り合った。
城:こうしたシステムをつくりあげると、子どもたちは「自分が就職するのは公務員や東電ではないんだ。現場で働く仕事もあるんだ」と感じ取ってくれるようになると思う。
日本は「新しいシステムをつくりあげなければいけない」タイミングにきていると思う。新しいシステムをつくりあげれば、子どもにこのように言うことができます。「働くというのは会社で選ぶのではなく、どんな仕事をするのかで選べ」と。
赤木:東電を潰してしまうと、社員はもちろんのこと、関連企業の家族まで路頭に迷わせることになる。しかし社会保障が充実していれば、潰せるのではないでしょうか。ダメな企業はきちんと潰せるようにしておかないと、「仕事=会社名」という構図はなかなか変わりません。実際、会社名で守られている、今の状況というのはやはりおかしいんですよ。
→続く。
プロフィール
城繁幸(じょう・しげゆき)
人事コンサルタントを務めるかたわら、人事制度、採用などの各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。著作に『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)、『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか−アウトサイダーの時代』(ちくま新書)、『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』(PHP新書)ほか。
有料メルマガの紹介
ビジネスリーダーが執筆する質の高いコンテンツをメールマガジンで有料配信している「ビジスパ」。本記事では、ビジスパで「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」(第2、第4金曜日配信。月額315円)を好評配信中の城繁幸氏のブログから選りすぐったコンテンツをお届けしています。
赤木智弘(あかぎ・ともひろ)
1975年8月生まれ、栃木県出身。長きにわたるアルバイト経験を経て、現在はフリーライターとして非正規労働者でも安心して生活できる社会を実現するために提言を続けている。
著書に『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』(双風舎)、『若者を見殺しにする国』(朝日文庫)、『「当たり前」をひっぱたく』(河出書房新社)がある。ブログ「深夜のシマネコ」、Twitter「@T_akagi」
関連記事
- 大企業の正社員、3割は会社を辞める
東日本大震災の発生以降、「今後どのように働いていけばいいのか」と考えるビジネスパーソンも多いのでは。ポスト大震災の働き方について、人気ブロガーのちきりんさんと人事コンサルタントの城繁幸さんが語り合った。 - 新聞が「若者は不幸である」と報じない理由
匿名ブロガーちきりんさんと、フリーライター赤木智弘さんの対談1回目。発行部数や広告費の減少などによって新聞社が苦しんでいるが、2人はメディア業界をどのように見ているのだろうか。 - なぜこの国に、“モミ消しのプロ”は存在しないのか
ジャーナリスト・上杉隆氏をホストとする対談連載1回目。事件などを追い続けているノンフィクションライター・窪田順生氏を招き、メディアの現状や課題などを語り合った。 - なぜ信用できないのか? 政府が発表する原発情報に
原発事故を受け、日本全体が揺れている。国民の多くは「政府の言っていることが信用できない」と不信感を抱いているが、なぜこのような事態に陥ったのか。この問題について、原口一博議員と武田邦彦教授が語り合った。 - え、水商売を? ちきりんさんの正体に迫る
人気ブロガーとして多くの読者が注目する、磯崎哲也さんとちきりんさん。Business Media 誠ではこの2人に登場していただき、全8回の対談をお送りする。社会問題などをマジメに“おちゃらけ”てもらったが、今回はちきりんさんの過去に迫ってみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.