コラム
経済ニュースが、分かりにくい理由:相場英雄の時事日想(3/3 ページ)
「経済ニュースが分かりにくいなあ」と感じたことがある人も多いだろう。例えば「史上初の米国債格下げ」と聞いても、ピンとこなかった人もいるのでは。経済ニュースが分かりにくい背景には、伝える側に問題があるからではないだろうか。
終息の兆しを見せない現在の金融危機は、2007年に起こった米国のサブプライムローン問題が発端だ。極めてリスクの高い投資商品に傾斜した欧米の金融機関が相次いで破たんに追い込まれ、欧米各国政府が不良債権を肩代わりしたのだ。
騒動の後、欧米諸国は金融緩和措置を続けて景気回復を図った。この間に、背負い込んだ不良債権の処理を狙ったものの、芳しい成果が得られず終いとなった。
現在、政府が抱える膨大な“ツケ”が問題視されているのだ。換言すれば、もうツケを回すところはどこにもない。欧米諸国が崖っ縁に追い込まれている、ということを意味している。
民間の不良債権を政府が処理し切れず、国そのものへの信認が急低下するという事態は、近年にはなかったこと。しかも、金融取引の電子化が進み、取引の材料になる各種の情報も瞬時に世界を駆け回るという状態は過去に存在しなかった。
もちろん、欧米の金融危機は、超円高の進行や株価の一段安に直結する危険をはらんでいる。日本の金融市場が海外要因で混乱すれば、冷え込んでいた景気がもう一段落ち込むことになる。
難しい経済記事、特に海外モノは、より分かりやすい形で報じる工夫がある。一連の海外の騒動は、決して対岸の火事では済まされないのだ。
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