帝国データバンクは8月25日、「2011年度の228分野業界天気図※」を発表した。それによると、景気が悪い「雨(小雨、雷雨含む)」は126分野と、景気が良い「晴れ(快晴、薄日含む)」の46分野を大きく上回っていることが分かった。
※業界天気図は各業界の生産や販売、売り上げ、収益動向などから景況感を総合的に判断したもの。最も景気が良い状態を「快晴」とし、以下「晴れ」、「薄日」、「曇り」、「小雨」、「雨」、最も景気が悪い状態を「雷雨」と7段階で表している。
前年の業界天気図と比較すると、“天気”が「悪化」したのは57分野と、「改善」した51分野をやや上回った。帝国データバンクでは「東日本大震災から5カ月が経過し、サプライチェーンの復旧や復興需要を背景に、企業の生産活動が復調に向かいつつあり、消費マインドも猛暑や節電などの特需が後押しし、内需・外需ともに回復傾向にある。しかし、長期化する円高やエネルギー政策の不透明感が、輸出産業の業績下押し要因となっている」とコメントしている。
資源高で総合商社は好調
分野別にみると、最も好調な「快晴」となっているのは3分野。「総合商社」は前年の「晴れ」より改善しており、資源高による追い風が吹いていることから、三井物産、伊藤忠商事、丸紅の3社は過去最高益を更新することが見込まれている。
一方、最も悪い「雷雨」となっているのは35分野。「紙・板紙製造」は原燃料高が各社の収益を圧迫するほか紙需要の低迷も続いており、「旅行」は福島第一原発事故の収拾遅延から訪日外国人需要が激減している。
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