スティーブ・ジョブスからの手紙への“返信”を考えてみた:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
8月24日に電撃的に発表された、Appleのスティーブ・ジョブスCEOの辞任。それに伝えた「スティーブ・ジョブスからの手紙」に、Apple製品のヘビーユーザーでもある筆者が返信してみた。
民主化をありがとう
そもそもパーソナルコンピューティングとは何なのでしょうか? あなたは1994年に「個人の生産性から、組織のそして作業の生産性へ続くもの」と語っています。昔、日本では「オフコン」がありました。コンピュータがオフィスにドンと座って「効率化」を指揮していました。実はそれは効率向上のほんのさわりでした。
仕事の生産性向上だけが狙いではなかった。音楽に始まり、家族との連絡、宅配や買い物、歯科医の予約、傘や靴の修理、英語レッスン、エクササイズ、友達作りや出会いまで、ライフスタイルの生産性向上が、iMac以来今にずっと続くテーマだったんですね。
そのベースにネットワークあり。1985年に「電話と同じくらい大事なものになる」と予言し、その11年後の1996年に「Webは驚異的な民主主義化の道具」と語りました。それから15年経ち、Web上で中小企業は大企業と対等となり、電話はすたれ始め、スマートフォンがチュニジアやエジプト、リビア、中国で民主主義を煽動します。すべてお見通しでしたか。
勇気をありがとう
Appleの進化は“切ること”から生まれたようにも見えます。1997年に暫定CEO就任後、メッセージパッド「ニュートン」を廃止しました。実は私、アレを購入しました。識字率が低くて使い物にはならないので、廃止は正解。でもその後、矢継ぎ早に3.5インチFDを、シリアル・パラレルポートを、光学ドライブを切ったのには驚きました。
ニュートンを捨てたからこそiPhoneが生まれた。過去を切るには勇気がいる。卒業式のスピーチであなたは「内なる声を聴き、心と直感に従う勇気を持ちなさい」と言いました。そして「ハングリーであれ、愚かであれ」と結ばれました。この言葉を心に刻みます。長きに渡りご苦労さまでした。
おっとOne more thing. 会長としてもStay Hungry、Stay Foolishであれ。そしてStay Healthy、健康であれ。
Best regards,
Yoshifumi Go
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