転職を考える前に、私たちがしなければいけないこと(後編):仕事をしたら“グラッ”ときた(4/4 ページ)
企業業績の低迷を受け「転職しようかなあ」と考えている人もいるだろう。ビジネスパーソンにとって転職は大きなイベントだが、安易な理由で実行に移してもいいのだろうか。そこで失敗しないための転職活動について、リクナビNEXTの黒田真行編集長に話を聞いた。
将来、自分はどんな職業でメシを食って生きたいか
土肥:歌手になるのがその人の夢であれば、全否定することはなかなか難しい。どのようにすれば、その人は自分に合った職業を知ることができるのでしょうか?
黒田:人それぞれにフィットする方法論が違うので、いまはまだ一概に言えません。ただ、やはり人との接触を通じて教わったり、成功・失敗両方の自己体験を通じて発見したりする人は多い。ただ1つ言えることは、日ごろの情報のインプットが多い人は、自分に向いている仕事に早く“気付く”ケースが多いですね。
真剣に仕事を探す経験は、就職活動を始めた学生のときという人が多いと思います。「就職活動」を始めて、ようやく仕事と自分の生き方を考える。
子どものころから生き方や職業観を少しずつ育てていく方法に比べると一夜漬け、一年漬けのような状態です。本来は、自分の興味や得意を生かして、どういう職業で、どんな価値を生み出せるのかを考えながら吟味してほしいのですが、就職行為そのものが目的化して「どれだけ知名度のある会社に就職できるか」ということに、過剰に重点を置いている人が多い。
土肥:確かに学生にとって就職活動は、一年漬けかもしれません。でもそれは初めての経験なので、仕方がないことでは……。
黒田:小学生に「将来、どんな仕事をしたいですか?」というアンケートのランキングが発表されますよね。あれと同じことを継続的に考えるだけでも、「自分は将来、どんな目的のためにどんな仕事をしたいのか」が語れる人は増えると思っています。本当は、小中学生時代から、学校や家庭でそういう機会を継続的に続けられていると、就職活動時に迷う人も減ってくると思います。
例えば中学生のときに「日本一の料理人になりたい」とか「世界でヒットするゲームをプログラムしたい」などと決めたとする。目標や目的が早く決まれば、それだけ早くからしっかりと準備ができますから、それだけ、その世界で活躍できる可能性も高まりますよね。
もちろん、途中で興味や志向、目標が変わることもあるでしょうが、「将来、自分はどんな職業でメシを食って生きたいか」ということを考える機会は、早いほうがいいし、何度考えても考えすぎということはありません。
自分のために、少し時間を取って考える時間を持つだけで、人生はかなり変わってくると思います。
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