EV用の充電ボックスが、なかなか普及しない理由:松田雅央の時事日想(2/3 ページ)
EV(電気自動車)の普及は電力会社にとってまたとないビジネスチャンスだが、街中で見かけることは少ない。EV社会の到来を前に、電力会社はどのようなビジョンを描いているのか。ドイツの大手電力会社E.ON(エー・オン)に話を聞いた。
家庭で安全充電
それでは電力会社はEVをどのようにビジネスと結び付けるのか。
「自宅のガレージで、安心して充電できる設備の普及をメインに考えています。家庭用のコンセント(230V交流)をそのまま使うことも可能ですが、安全性の観点からドイツ自動車工業会(VDA)は推奨していません。E.ONはさまざまな車種の充電プロトコルに対応できるガレージ用充電ボックスを開発し、この10月から販売と設置サービスを始めます」(E.ON担当者)
E.ONがガレージ用充電ボックスに力を入れる理由は他にもある。同社はEV充電事業の開始を前に2009年からミュンヘン市でBMWグループと共同の社会実験を行っている。100台のMINI-E(MINIのEV仕様)をモニターに利用してもらい、EVの利用や充電について実地データを得るのが目的だ。
その結果明らかになったのは、EVを通勤で利用するモニターは職場(あるいは職場近く)の充電ボックス利用が非常に少ないということ。初めのうちは頻繁に利用するのだが、徐々になくなる。というのも、自宅のガレージで一晩充電すれば通勤の行き帰り+買い物+日常の用事といった1日の走行には十分なので、あえて職場で充電しななくてもいいのだ。
充電するには重いコネクタの抜き差しが必要だから毎回2〜3分はかかる。たいした手間でないとしても毎日となれば面倒だし、あえてやらなくていいのならば当然そうなる。職場駐車場での充電が無料なら魅力的だが、それでも1日数十セント得をするだけなので、倹約家でなければ長くは続きそうにない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
