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コラム

EV用の充電ボックスが、なかなか普及しない理由松田雅央の時事日想(3/3 ページ)

EV(電気自動車)の普及は電力会社にとってまたとないビジネスチャンスだが、街中で見かけることは少ない。EV社会の到来を前に、電力会社はどのようなビジョンを描いているのか。ドイツの大手電力会社E.ON(エー・オン)に話を聞いた。

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スマートハウスとの融合

 E.ONがガレージ用充電ボックス普及の先に描くビジョンは、EVとスマートハウスの融合だ。ITや新たな技術を用いて、再生可能エネルギー電力を最適に利用できる社会システムがスマートグリッド。そして、スマートグリッドに最適化した住宅やビルがスマートハウスと呼ばれるもの。

 融合を具体的にイメージすると次のようになる。

 通常はスマートハウスからEVに電力を送る(充電する)のだが、例えば風が弱く風力発電量が少ない時は逆にEVの電力をスマートハウスで使用する。社会全体の発電と電力消費のバランスを最適化できるだけでなく、電力価格の高い時間帯に「EVの電力を売電」すれば、スマートハウスの住人はもうけることができる。

 E.ONは2008年から検討を始め、2011年から20台のEVを用いた実験を行っている。担当者の話によると、EVメーカーはEVをスマートハウスの電源として使用することに及び腰だという。なぜなら蓄電池の寿命が縮むことを心配しているのだ。

 スマートハウスとの融合は1つの例だが、EVを巡っては次々と新たなアイデアが生まれその実証実験が続けられている。問題や課題も山積しているが、実用化は秒読み段階に入ったといって間違いない。


E.ONのイメージするスマートハウス。ドイツの住宅は日本のそれとは異なり、地下に暖房・給湯用のボイラーを備えている。スマートハウスではここにコジェネレーション(熱電併給)設備を設置して自家発電する(出典:E.ONのパンフレット)

MAGE SUNOVATION社のEV用ガレージ。屋根には太陽電池が敷かれている
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