コラム
その燃費、基準はナニ? 消費者に誤解与える“低燃費”:相場英雄の時事日想(3/3 ページ)
「1リッター当たりの燃費は○○キロ。世界最高水準」――。ハイブリッドやEV(電気自動車)の新車が発表されるたびに、このような報道が増えてきた。しかし“低燃費”にこだわることで、消費者に誤解を与える恐れがある記事も増えてきているのだ。
国土交通省と経済産業省が2007年に発表した「乗用車等の新燃費基準(トップランナー基準)の策定について」の中の一部を紹介しよう。
(2)カタログの燃費表示について
自動車ユーザーに燃費の優れた自動車を選択していただけるよう、省エネ法に基づき、自動車のカタログには燃費が記載されています。今般の省エネ法の省令・告示改正により、燃費の試験方法がより実際の走行に近い「JC08モード」に改定されます。
今後は、より実態に即した燃費情報の提供を行うため、準備ができた自動車から順次、「JC08モード」により測定した燃費が自動車のカタログに併記されていきます。
記事中のJC08モードと10・15モードの混在は、記事を書いた記者の凡ミスであり、これを見抜けなかったデスクや校閲スタッフの誤りだ。おそらく国の指針もチェックしていなかったはず。ただ、当欄で何度も触れているが、最近は一般読者・視聴者のメディア不信が際立っているタイミングだ。
メーカーの販売戦略上有利な10・15モードを使えば、「広告スポンサーであるメーカーに気を遣った」と邪推されても仕方がない。クルマの最新技術を巡る報道は、数値という切り口でみると危うい一面が潜んでいる。
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