ソニーの失敗、ベネチアンの成功に学べ――カジノ成功には何が必要なのか(5/5 ページ)
超党派議員連盟が成立に向けて調整しているカジノ法案。もし日本にカジノが作られることになった場合、どうすれば観光客を誘致できるのか。K.I.T.虎ノ門大学院が設立したロケーション・エンタテインメント研究協議会会長の北谷賢司氏がエンタテインメント施設の歴史を振り返り、その成功の条件について解説した。
最先端のロケーション・エンタテインメントとは
現在最先端をいく新世代のロケーション・エンタテインメントというと、シェルドン・アデルソン会長がリーダーとして経営するラスベガスサンズコーポレーションが運営しているベネチアンホテルです。2007年にはラスベガスと同じスペックで少し大きな敷地を使ってマカオにも作られ、2010年には3つの棟を建てて、57階でスイミングプールを乗せてつなげるという奇抜なデザインのマリーナベイサンズをシンガポールで開業しました。
マリーナベイサンズはSMAPのiPhoneのテレビCMでご覧になった方も多いと思いますが、単に豪華絢爛な建物を建てるだけではなく、その建物の中にエンタテインメントやリテール、スパ、フィットネス設備も複合的に入れるということを戦略的に考えた建物が、現在最も成功しているロケーション・エンタテインメントのコンセプトだと言われています。
ロケーション・エンタテインメントのコンセプトとしては、まず建物がなければいけませんが、それだけではなく、その周辺の空間がいかにデザインされているか、その空間への導線がどういった構想によって作られているかということが重要です。そして、建物を立派なものにしても、人とのインタラクションを無視すると成功しません。先ほどのソニーのベルリンセンターの画像をご覧いただきましたが、建物が立派であっても人との融合性に欠けると、ロケーション・エンタテインメント面から見ると、その開発は失敗ということになります。
最後に恐らく最も重要なことはエンタテインメントのスタイルです。こういった施設の中でどういったエンタテインメントがプレゼンテーションされているか、さらにそのスタイルが実際に現在の消費者のニーズに合ったものかどうかということが非常に重要だと思います。
関連記事
- 伝説の“呼び屋”は何を交渉してきたのか――ドクターKこと、北谷賢司
東京ドームでマイケル・ジャクソンやローリング・ストーンズが、ライブを行ったことを覚えている人も多いだろう。しかし日本に大物アーティストを招く、伝説的な男がいることを知っている人は少ない。“呼び屋”として活躍した北谷賢司とは、一体どのような人物なのだろうか。その素顔に迫った。 - ハイローラーXが明かす、知られざるカジノの世界
「ハイローラー」という言葉を聞いたことがあるだろうか。カジノでは多額の賭け金を使う人のことをこのように呼ぶが、日本人で20年以上、ハイローラーとして賭け続けている男がいる。カジノの裏側を、そしてハイローラーの実態を、この男が明らかにした。 - 想像力を試されるシルク・ドゥ・ソレイユの「ZED」
東京ディズニーリゾートの片隅で行われている「ZED」。超技巧派演劇集団による「説明足らず」のこのショーこそ、ディズニーのリゾートに必要な要素なのです。何故かあまり注目されない「ZED」というエンターテイメントを、OneTopiディズニーのキュレーターが軽く、キモく紹介します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.