コラム
金儲けは目的なのか、手段なのか?(3/3 ページ)
「事業体とは利益を得るための組織である」──この考え方に対し、ピーター・ドラッカーは「間違いであるばかりでなく、的外れである」と言った。
金もうけをどう位置付けるかは自分の意思
とはいえ、やはり、お金や利益を目的にする人たちはいます。金融商品で投機的に利益を出そうとする行為はその典型です。また、もうけることが効果的な手段になる場合もあります。深刻な経営危機から再生を図る企業にとって、四の五を言わず、利益を出すことは重要な手段です。大幅な赤字決算、大規模なリストラから立ち直る途上において、「利益が出た!(=黒字に戻った!)」というのは、何よりの社内活気付けの材料になるからです。
以上、金もうけは目的か手段かについて考察してきましたが、結論から言えば、それは目的にもなりえるし、手段にもなりえる。あるいは、条件や成果・報酬・恵みにもなりえます。より正確には、これら4つの要素の複雑微妙な混ざり合いとなるでしょう。どの要素の比重が大きくなるかは、その人の意思によって決まります。
こういう風に結論付けると、読者は「何か平凡な結びだなぁ」と感じるかもしれません。しかし、平凡ではありますが、経済を営む私たちひとりひとりは、よくよくこのことを真面目に受け取らねばなりません。この世で、金を魔物にするも天使にするも、それは人間次第。金に振り回される社会になってしまうのも、金をうまく使える社会にするのも、結局、人間の意思に任されているのですから。(村山昇)
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