連載
3.11後のタワーマンションから見えてきた“不動産選びの新基準”:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
東日本大震災で帰宅困難者が多く出たことから注目を集めている、都心のタワーマンション。一方で、安全対策なども気になるところだが、その現状について三菱地所レジデンスの亀田正人さんに尋ねた。
3.11は不動産選びも変えた
3.11が変えたことはたくさんあるが、不動産選びの基準も変わった。「安全」という尺度である。
従来は通勤時間、商店や暮らしの施設、坪単価などが尺度だった。そこに「もしもの時」という尺度が加わって、地域価値が大きく変動している。職場が近くても液状化が起きるのはNG。遠いのは帰宅困難。土木工事や駆体工事は誠実に行われているか。不動産選びはあるべき姿になってきたと言える。
そこにもう1つ、“スティーブ・ジョブズの洗濯機選び”の教訓を付け加えたい。結婚後、彼はシンプルに暮らすため、家具1つ買うのも妻とじっくり議論した。なぜソファは必要なのか? 何に使うのか? 洗濯機も数週間悩んで、水や洗剤が少なくても衣服にやさしい洗い方ができるドイツ製に決めた。
どんな暮らしをしたいのか? 何を大切にするのか? 1日1日をどう暮らすのか?
これらに答えるとあなたの不動産価値が決まる。3.11は「Living=生きること」に向き合うきっかけとなった。
関連記事
- なぜ他社の数倍の価格で売れる? ダイソンの掃除機をバラバラにして考えてみた
他社の数倍の価格でありながら、多くの顧客に愛されているダイソンの掃除機。サイクロンという特殊な形状を持つ同社の掃除機だが、バラバラにして、その人気の秘密を分析してみた。 - そのデザインは“適正”? 震災の年のグッドデザイン賞から見えてきたこと
「今年のグッドデザイン賞は何かが違う」。大賞の候補作品を見ていて、そう感じたという筆者。そのワケは今年のデザインテーマである“適正”にあるようだ。 - 成功しそうでしない商売、ネットスーパーはどう運営するべき?
成功しそうでしない商売とも言われるネットスーパー。このほど、コンビニ大手のローソンもらでぃっしゅぼーやと組んで参入することを発表した。ネットスーパーがうまくいくための条件とは何なのか考えてみた。 - 郷好文の“うふふ”マーケティングバックナンバー
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.