震災後、どんな乗り物が売れた?(2/2 ページ)
東日本大震災が発生し、首都圏の交通網は大混乱に陥った。電車の間引き運転、ガソリン不足による道路の大渋滞。こうした経験を経て、消費者は乗り物に対する意識が変わったのではないだろうか。震災後の8カ月を振り返った。
“第3のエコカー”に注目
クルマの売れ行きにもちょっとした変化が出ている。震災後のガソリン不足、長引くガソリン高などの影響を受け、ハイブリッドカー(HV)並みの低燃費を実現したガソリン車“第3のエコカー”が注目されている。
ダイハツの「ミラ イース」は実燃費に近いJC08モードでリッター30キロメートルを達成。9月に発売し、1カ月で約4万台を受注した。また価格も79万5000円からと、低価格を実現。低燃費&低価格――この2つのポイントが消費者から支持されたようだ。
このほか第3のエコカーで注目されているのはマツダの「デミオ」。JC08モードでは25キロを実現した。2012年には、三菱から「ミラージュ」の販売が予定されており、クルマの“低燃費戦争”は今後も続きそうだ。
クルマを選ぶ際のポイント
自動車メーカー各社が低燃費戦争にしのぎを削る一方で、消費者はどのようなクルマを求めているのだろうか。マーケティング会社のシタシオンジャパンと関西学院大学の鈴木謙介准教授は、震災後の価値観について調査を実施(関連記事)。その結果、クルマを購入するときには「動力源」や「燃費」への関心が強くなっていることが分かった。
震災後、クルマ選びの際に重視する点を聞いたところ「動力源」(震災前15.3%、震災後31.9%)、「環境性能」(同18.8%、同28.7%)、「燃費」(同55.7%、同61.5%)などが上位にランクイン。その一方で「スタイル・デザイン」や「乗り心地」を重視する人は減少傾向に。震災前に「スタイル・デザイン」を重視していた人は32.5%だったが、震災後は7.4ポイント減の25.2%に落ち込んだ。
低燃費を求めるのはクルマだけでなく、バイクの世界でも同じような現象が起きている。日本自動車工業会によると、2011年1〜8月の原付きバイクの販売台数は、前年同期比10.5%増の24万636台。2007年以来、4年ぶりに増加に転じた。
震災後、乗り物でヒットした商品を見てみると「低燃費」「健康」といったキーワードが浮かび上がる。通勤手段を見直すビジネスパーソン、移動手段を見直す消費者。そんな人たちが、今後増えてくるのかもしれない。
関連記事
- どこまで良くなる? クルマの燃費
ハイブリッド車の登場で一気に良くなったクルマの燃費。走りの基本性能の向上はもとより、環境性能を意識しないクルマは生き残りが難しくなってきた。そしていま、軽自動車界隈から新しい風が吹いてきている。 - 震災後、価値観はどう変わった? 鈴木謙介さんが語る
大震災後、日本人の価値観はどのように変化しているのだろうか。「自分も価値観は変わったと思うが、具体的にはよく分からない」という人も多いかもしれない。そこで調査結果を基に、関西学院大の鈴木謙介准教授が分析。日本人の考えはどのように……。 - マツダが目指す「究極の内燃機関」実現の第一歩
「モーターも使わず、ガソリンエンジンだけでリッター30キロ?」――ここ数年、マツダのクルマづくりで注目を集めていた新技術「SKYACTIV TECHNOLOGY」が、いよいよデビューする。マツダのクルマづくりの哲学がどのように変化するのか? パワートレインの開発責任者の意地を見た。 - JC08モードでリッター30キロを実現した「ミラ e:S」
ダイハツ工業は9月20日、軽乗用車「ミラ e:S(イース)」を発売した。リッター30キロという燃費を実現。価格は79万5000円〜122万円。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.