コラム
面白い恋人VS. 白い恋人から、コンプライアンスを考える(2/2 ページ)
石屋製菓が主力商品「白い恋人」の商標権を侵害したとして、「面白い恋人」を販売する吉本興業を訴えた問題。「そう、うるさいこと言わずに」「まあ、いいじゃないの」と笑って見ている人も多いだろう。しかしやはり、吉本のコンプライアンス意識には疑問符を付けざるを得ない。
“面白く”はあるけれど
劇場の建て替えなどで不動産賃貸業へ進出したし、お笑いコンテンツのネット配信や輸出を試み、さまざまな商品を吉本ブランドで販売することにも以前から取り組んでいる。
ただ、それらのいずれも好調とは言いがたいのが実際のようだ。今回の1件は、新規事業がうまくいかない焦りや危機感が背景にある。その中で、大阪的な軽いノリでやってみたうちの1つが、たまたま当たってしまったので、そのまま拡販を図っていたということなのだろうが、「白い恋人」側がどう思うかという発想がなかったのが驚きである。それが、吉本の企業体質なのだろう。
この紛争を、「そう、うるさいこと言わずに」「まあ、いいじゃないの」と笑って見ている人も多いと思う。確かに、オリンパスや大王製紙に比べれば額も微々たるものだし、パロディーの笑えるネーミングについて大真面目になって争っている絵も、それこそ“面白い”。
しかし、「白い恋人」の製造・販売者にとっては全然笑えるものではなく、商標権侵害の可能性あり、ということに気付かなかった、あるいは無視していた吉本興業を、コンプライアンスの観点から他山の石とすべきであろうと思う。社会のさまざまな人たちの視点から見て、自社のやっていることが適切か、受け入れられるかどうかを考えることこそ、コンプライアンスなのである。(川口雅裕)
関連記事
- 中小企業の新卒採用が失敗し続ける理由
一般的に大企業より遅れて採用活動を行う中小企業。「自分たちのような中小企業は、大企業が採用しなかったような学生しか採用できないという、いかにもプライドのない前提に立っているのは、いかがなものか」と筆者は主張する。 - 「成長したので昇進させたら失敗した」となる理由
企業人事において、「任せられる」「成果が出ている」「自信を持っている」という状態を見て、十分に成長したと判断し、上の階層に昇進させたら、全然ダメだったということがよく起こります。これは、なぜ起こるのでしょうか。 - リクルート「就職人気企業ランキング」の公表取りやめを歓迎する
リクルートが今春から「大学生の就職志望企業ランキング」の公表を取りやめる方針を明らかにしたという。「行列ができる店はウマイのだろう」という発想と同じような就活が、変わっていくための一歩として期待したい。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.