売上7倍! 駅ナカマーケットが、ものすごく有望なワケ:新連載・エキなか!(2/2 ページ)
かつては、売店と立ち食いそば屋くらいしかなかった鉄道駅構内。しかし、今、さまざまな業態の店舗が出店するようになっている。その背景には鉄道駅の圧倒的な集客力がある。
駅ナカ立地のポテンシャルは?
では、この駅ナカマーケットにはどれだけのポテンシャルがあるのだろうか? 最新でも平成19年度(2007年度)と少し古いが、経済産業省の「商業統計」から、立地別(商圏別)の小売業のデータを確認してみよう。
1店舗平均の売上高を確認すると、工業地区が断トツで高いことが分かる。しかし、これだけで立地のポテンシャルを推し量るのはあまりにも稚拙だ。なぜなら、小売業では店舗面積と売上高が相関関係にあるからである。
そこで1店舗平均の店舗面積についても確認すると、1店舗平均の売上高が最も高かった工業地区の店舗面積がこちらでも最も広いことが分かる。工業地区の店舗は郊外型ショッピングセンターであることが多いので、店舗が大きいことも納得できる。
ここで注目してもらいたいのは駅ナカの店舗面積。平均で20平方メートルと、他地域の数分の1しかないのである。
では、1坪当たりの売上高(生産性)はどうなるのか。計算すると、駅ナカの1坪あたり平均売上高(生産性)は年間190万円で、小売業平均の年間27万円の7倍と圧倒的。
読者のみなさまも、駅ナカの狭いスペースに立地する駅弁屋やスイーツショップなどをご覧になったことはあるだろう。集客力に加え、限られた駅構内スペースを最大限利用しているからこそ、このような高い生産性を叩き出せているのである。
非常に大きな可能性を秘めている駅ナカマーケット。次回はその特徴について紹介しよう。
著者プロフィール:笠井清志
JR東日本リテールネット・コンビニエンス営業部長。ゼネコン、コンビニチェーン本部、コンサルティング会社を経て現職。小売業・サービス業を中心に多店舗展開チェーン(特に駅ナカ・空港等の限定商圏マーケティング)を中心に活動。NEWDAYSが2007年度から3年連続で1店舗平均日商でセブン-イレブンを抜いた実績のサポートを行う。月刊コンビニ(商業界)での執筆、海外メディア「Financial Times」等取材実績多数。著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。経営相談・講演・執筆等の依頼はこちら(kiyoshi1025@gmail.com)まで。
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