コラム
「なめてかかって真剣にやること」の重要さ(3/3 ページ)
何かに挑戦しようとする時、能力が足りない、資金がない、環境が悪い、といった物理的な壁があってできないと思われる状況はしばしば起こる。しかし最もそれを阻んでいる壁は、実は自分の内に作ってしまう精神的な壁である。
坂の上に太陽を
しかし誰しも、松坂選手のように「なめてかかれる」ほど自信や度胸があるわけではない。では、どうすればいいか。
その一番の答えは、坂の上に太陽を昇らせることだ。「坂の上の太陽」とは、大いなる目的や夢、志といった自分が献身できる“意味・大義”である。この太陽の光が強ければ強いほど、高ければ高いほど、目の前に現れる壁は低く見える。と同時に、太陽は未知の世界で遭遇する数々の難所も明るく照らしてくれるだろう。
最後に、フランスの哲学者アラン『幸福論』(白井健三郎訳、集英社文庫)からいくつか言葉を拾ってみる。
「人間は、意欲し創造することによってのみ幸福である」。
「予見できない新しい材料にもとづいて、すみやかに或る行動を描き、そしてただちにそれを実行すること、それは人生を申し分なく満たすことである」
「本当の計画は仕事の上にしか成長しない。ミケランジェロは、すべての人物を頭のなかにいだいてから、描き始めたのだなどと、私は夢にも考えない。(中略)ただもっぱら彼は描き始めたのだ。すると、人物の姿が浮かんできたのである」
「はっきり目ざめた思考は、すでにそれ自体が心を落ち着かせるものである。(中略)私たちは何もしないでいると、たちまち、ひとりでに不幸を作ることになる」
跳ぶことはリスクである。跳ばないことはもっとリスクである。さて、あなたはどちらのリスクを選ぶか? (村山昇)
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