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何が問題なのか? メディアにころがる常識津田大介×鈴木謙介、3.11後のメディアと若者(1)(5/6 ページ)

メディアが構造的な問題に苦しんでいる――。購読部数の減少、広告収入の低下などさまざまな課題が押し寄せているが、解決の糸口が見えてこない。こうした問題について、ジャーナリストの津田大介氏と社会学者の鈴木謙介氏が語り合った。

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テレビのサイズに合わせたコメントは難しい(写真と本文は関係ありません)

鈴木:橋下さんは、テレビに合わせたコメントをするのがとてもうまい。ひょっとしたら、テレビのサイズに合わせたコメントは簡単なのかもしれない。逆にWebの番組は詳しく放送することが多いので、事前にかなり詳しく情報を得なければいけない。

津田:僕は『JAM THE WORLD』というラジオ番組に出演しています。この番組ではその日の時事ニュースを取り上げて、コメントしなければいけません。自分が知っている話題であればいいのですが、中には全く知らないニュースもある。そういうときには事前に調べて、番組でコメントしなければいけない。そうした作業は1時間ほどかかりますね。

鈴木:テレビに出演し始めたころ、「鈴木さんは若者問題にお詳しい。若者は○○問題についてどう感じているのでしょうか?」といったコメントを求められることが多かった。でも「その質問、意味ないと思います」と返してたら、今では普通のコメントを求められるようになりました。そのせいで逆にいろんなことを普段からちゃんと調べておかないといけないプレッシャーは増したんですけど(笑)。

津田:ハハハ。

鈴木:例えばオウム真理教に関する一連の裁判が終わったときに、上祐史浩氏が運営している「ひかりの輪」という宗教団体に対し、大阪で抗議行動が起こりました。この問題を取り上げたときに「ひかりの輪の信者が増えていますが、これについて鈴木さんはどう思いますか?」と聞かれた。若者が宗教に惹かれているという文脈でコメントすべきか、地域社会と宗教団体の問題にすべきか、オウムとその後という論点で話すべきか。そういうことを一瞬にして判断しなければいけないわけで、やっぱり答えに窮しますよね。

津田:でも自分でなければ言えないことを、コメントするんでしょう?

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