何が問題なのか? メディアにころがる常識:津田大介×鈴木謙介、3.11後のメディアと若者(1)(6/6 ページ)
メディアが構造的な問題に苦しんでいる――。購読部数の減少、広告収入の低下などさまざまな課題が押し寄せているが、解決の糸口が見えてこない。こうした問題について、ジャーナリストの津田大介氏と社会学者の鈴木謙介氏が語り合った。
鈴木:メディア研究では「サウンドバイト」の問題がよく指摘されます。テレビは1つの話題を扱う時間が短いので、出演者やVTRでのコメントも、一言で結論が見えるようなものばかりが取り上げられてしまう。でも前後の文脈を交えるとまったく逆の意味になる言葉ってあるわけです。
テレビに出る際には、どうしても5秒、10秒で何を言えるかが問われてしまう。文章を2つつなげないと伝わらないような内容を話したかったら、語りだしから「この人は分かりやすく喋る人だなあ」という印象を持たれるような言葉を使わないとダメ。でも抽象的な内容って、そもそもじっくり話さないと分からないわけだから、それを丸めるとどうしても「何かいいことを言ってるようで、内実のまったくない話」になってしまいがち。
テレビに出演するようになって、「あ、もうちょっと詳しくコメントするべきだったなあ」と反省させることがしばしばありますね。
津田:コメンテーターって、大変ですよね。以前、テレビ番組に出演したときにこのように聞かれました。「バレーボールの放送が延長されて、視聴者からクレームがありました。これについて、どう思われますか?」と。
でもそんなことを聞かれても困ってしまう。そもそも生放送のスポーツ番組が延長されることはよくあること。なので視聴者はきちんと録画をしていればいいんですよ。そんなことでいちいちクレームをつけるほうがどうかしていますよね(笑)。
鈴木:ハハハ。
(続く)
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