被災者の声を聞こう! そうすれば何かが見えてくる:相場英雄の時事日想(3/3 ページ)
「被災者のために、何を支援すればいいのか」――。こうした疑問に対し、筆者の相場氏は「現地に足を運べ」とアドバイスする。被災者の声を聞けば、現地で何が必要なのかが見えてくるからだという。
復興とはほど遠い状況
筆者は読者に支援を無理強いするつもりはない。ただ、多少なりとも興味を抱いていただけるならば、筆者が当欄で伝える予定の記事にご注目いただけたら幸いだ。
今後、年末年始のニュース番組では、大晦日や正月の被災地、仮設住宅の情景が映し出される。また、来年3月には「震災から1年」の大特集が展開される。だが、その当事者である被災者の実際の生活は、まだ復興とはほど遠い状況にあるのだ。
現在、津波被害が深刻だった地域へのアクセスは、ようやく震災前に近づきつつある。電車の便が少ない、あるいはバスの便が悪いなどの状況は残るものの、東北各地のターミナル駅からレンタカーで行く分には全く不都合はない。
一部の被災地では、復興に向けた作業員が集中し、現地のホテルや旅館が満杯という状況もあるが、その隣接の町村に回れば宿泊も十分に可能だ。もし可能ならば、現地に足を運び、細かな支援ニーズを感じとってほしい。
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相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール
1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『双子の悪魔 』(幻冬舎文庫)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo
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