なぜ若者はクルマから離れていったのか:津田大介×鈴木謙介、3.11後のメディアと若者(7)(5/5 ページ)
若い世代の間で“クルマ離れ”が進んでいる。クルマを買わないどころか、免許すら持っていない人も少なくない。なぜ若者はクルマに興味を示さなくなったのだろうか。ジャーナリストの津田大介氏と社会学者の鈴木謙介氏が語り合った。
津田:何か新しいことを始めようと思ったときには「こういうことをすればこうなる」と自分なりに分析する。例えば成功するのは20%くらい……と考える。自分の分析では5回に1回は成功するはずなのに、6回、7回と失敗が続くとあきらめる人が多い感じがしていますね。
鈴木:壁にぶつかったり、挫折したりすることは、その人にとって考え方を変えるいいチャンスだと思う。例えば確率が20%なのに、10回やっても全くダメだったら、やり方を変えたほうがいいですからね。
津田:状況というのは刻々と変わる。その状況を見ながら、何度もトライすることが大切かなあと思っています。
ダメだったらダメでもいい。そのダメな経験を糧にすればいいのですから。
鈴木:人は社会貢献をすれば、それを他人に認めてほしいという気持ちが強くなります。そのときに成功しようと失敗しようと、その人を評価することが大切なのかなと思っています。
これを仕事に置き換えると、こうなるかもしれません。「あなたは仕事ができるようになって、新たなスキルを手にした。そして失敗もしなくなった。成長することによって、あなたは周囲の人たちから期待されるようになるんですよ。」と。
30代になれば、やがて出世して、部下も増えていくことでしょう。そこで子飼いの部下を抱えて、「オレが評価しなければいけない」といった考え方ではダメ。「君だったら、もっと人気者になれるよ」「こうすれば、周囲の人が受け入れてくれるんじゃないか」といった形で評価すればいいのではないでしょうか。
(終わり)
プロフィール
津田大介(つだ・だいすけ)
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師。一般社団法人インターネットユーザー協会代表理事。J-WAVE『JAM THE WORLD』火曜日ナビゲーター。IT・ネットサービスやネットカルチャー、ネットジャーナリズム、著作権問題、コンテンツビジネス論などを専門分野に執筆活動を行う。ネットニュースメディア「ナタリー」の設立・運営にも携わる。主な著書に『Twitter社会論』(洋泉社)、『未来型サバイバル音楽論』(中央公論新社)など。
鈴木謙介(すずき・けんすけ)
1976年福岡県生まれ。関西学院大学 社会学部 准教授。専攻は理論社会学。情報化社会の最新の事例研究と、政治哲学を中心とした理論研究を架橋させながら独自の社会理論を展開。著者『カーニヴァル化する社会』(講談社)以降は、若者たちの実存や感覚をベースにした議論を提起しており、若年層の圧倒的な支持を集めている。著者は『サブカル・ニッポンの新自由主義』(筑摩書房)ほか多数。現在、TV・ラジオ・雑誌などを中心に幅広いメディアで活躍中。最新刊に『SQ “かかわり”の知能指数』がある。
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