第3回 足あと廃止は改悪なのか、進歩なのか――ユーザーコミュニケーションの重要性:短期集中連載・mixiはどこへ行く?(5/5 ページ)
2011年6月、mixiが「足あと機能」をやめ、「訪問者」機能に変更したことは大きな波紋を引き起こした。反対するユーザーの署名をコミュニティの代表者が運営側へ手渡しする、という事態になったのだ。「足あとをやめたのではない、機能改善の途中なのだ」というmixiの意図とは? 原田副社長のロングインタビューを掲載する。
万人が満足するサービスはあり得ない……が
以上、少し長くなってしまったが、原田副社長とのやりとりを掲載した。一部補足したり、重複個所を削除するなどの編集はしたが、原田氏の話した内容はほぼ忠実に再現されていると思う。
SNSはサービスがユーザー同士のコミュニケーションそのものであるだけに、運営側がユーザーにどう対応したのか、コミュニケーションの内容が厳しく問われる。mixiに限らず、Webサービスでは機能やUIを変更するたびに、大なり小なりユーザーと運営側の衝突が起きることは避けられない。FacebookでもTwitterでもGmailでも、新しいUIを導入するたびに「前に戻してほしい」という声が聞こえてくるのが常だ。
自身もmixiユーザーである筆者が非常に気になっているのは、今回取りあげた足あとの件にせよ、本連載の1回目で取りあげた新UIの件にせよ、機能変更の意図がユーザーにまったく伝わっておらず、熱心なユーザーほど反発している(ように見える)という点だ。サイレントマジョリティという観点を差し引いても、「良くなった」という声がほとんど聞かれず「使いにくくなった」「前のものに戻してくれ」という反発ばかり目立っているところがとても気になる。
今回の本質的な問題は、「運営側の説明が足りていない」これに尽きると筆者は考えている。もっと背景や変更の狙いについて、運営側からユーザーに丁寧に伝えていれば、反応はまったく違ったのではないか。やる気があるサービス運営者ほど、新機能や新しいUIを取り込むことに貪欲なものだし、万人が満足するUIなどありえない。大きな方針を打ち出してそれに沿った変更を行い、ユーザーからの声を丁寧に拾った上で取捨選択する……ユーザーを満足させながらサービスを前進させていくには、それしいかないと思うのだが、どうだろうか。
最後に、原田氏の言葉を引用して本稿を終えたいと思う。「一番の問題は、背景をしっかり説明するだけではなく、そのあとの対応として『今ある機能をきり捨てるわけではありません』『今後はこういうプランです』『こういう思いです』といったことをどう伝えていくか。これが(足りなかったというのが)、今回の足あと問題についての我々の反省点です。変換の方向に関しては、意地を張ってるわけじゃありません。ユーザーの方がおっしゃることは、痛いくらい分かっています。でも、単に機能を残したり、前に戻すだけが道ではない、そう考えているんです。古いモノを単に置いているだけでは、利用が広がっていきませんから。……苦悩しても、新しい道を見つけないと。もともとあったバリューは何なのか、その課題を見つけてほどいていき、一つ一つ解決し、新しい方向を探っていかないと。『運営者側がこう思っている』ということを押しつけるつもりは、まったくありません。ユーザーが増えて、利用が活発になって、それによって収益も増えていく……そうしないと、会社の維持持続ができないですから」
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