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オカシイはオモシロイ――ARは“マッドネス”で広めよう!:郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)
スマートフォンをカタログの女性にかざすと脱いでくれる――そんなアプリで販促したアウトドア衣料小売店のMoosejawでは、売り上げが前年同月比37%増となった。イマイチ普及しなかったAR(拡張現実)だが、ここにきて活用法が見出されてきたようだ。
ARを現実的に分析しよう
AR(拡張現実)とは、現実の環境に電子情報を付加する技術やそのバーチャル環境のことを言う。CGやGPSなどの技術を使って、そこにないものを見せる魔法である。従来の携帯電話でも使えるものはあるが、画面が大きいスマートフォンやタブレット型端末にはうってつけ。アプリやサービス事例には次のようなものがある。
ARの用途は、おおむね次のように分類できそうだ。
- クチコミ……道先案内や空間情報、つぶやき
- ビフォーアフター……化粧前と化粧後、購入前と購入後
- 転ばぬ先の杖……店舗や味の評価、スタンプラリー
- ひまつぶし……ゲーム、画像遊び
クチコミは主に街や店舗の情報提供、ビフォーアフターは商品の販売促進、転ばぬ先の杖は比較サイトやSNSに使われ、ひまつぶしはゲーム要素が強い。挙げた事例には「いいね!」もあるが、ちょっとした販促に過ぎない。「もうからない」のがAR業界の悩みである。
ちょっと脇にそれるが、今、鳴り物入りで登場した3Dテレビが売れていない。なぜだろう。「目が疲れる」「家では映画館のような視聴体験までいらない」「3Dメガネはズラすと(裸眼対応の3Dテレビでも視線をズラせば)立体に見えず幻滅する」などと言われる。私は「3D機能は楽しいぞ」というメーカーの押しつけがましさがどうかと思う。
機能が前面に出てしまうと、人は買わない。ARも同じことをやっているのだ。
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