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オカシイはオモシロイ――ARは“マッドネス”で広めよう!郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)

スマートフォンをカタログの女性にかざすと脱いでくれる――そんなアプリで販促したアウトドア衣料小売店のMoosejawでは、売り上げが前年同月比37%増となった。イマイチ普及しなかったAR(拡張現実)だが、ここにきて活用法が見出されてきたようだ。

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売れたのは“マッドネス”があるから

 MoosejawのARが人気を集めた理由は2つある。第一に「うふふがある」こと。

 印刷物にスマートフォンをかざす、老眼の人が虫眼鏡で見るようにすると裸が見える。これはうふふだろう。「スマートフォンってこんなに高機能なんですよ」という押しつけがましさもなければ、「バーコードリーダーを読み取れ」みたいな細かい指示もない。「印刷カタログにはマジックがあります」という好奇心でリードしたのが良かった。

 第二に「この会社はオカシイ」から。Moosejawのスローガンは「Love the madness」。「マッドネス(オカシイ)ってステキ!」……ってどうかしている。

 会社沿革からしてどうかしている。こんなことが書いてある。「1号店をオープンした時、カノジョに逃げられた。だが、新しいカレは超ハンサムなのでボクは責めない」「店舗アイデアはシャーリーの猫専門ペットショップから盗んだが、訴訟を起こす前にシャーリーは死んだ」「シャーリーの息子も死んだのでそこを倉庫に買い取った」。

 さらに同社の商品保証書の名称は「遺言状」。お客さんが生きている限り、何年後でも返金保証をするという意味だ(再販可能な状態に限る)。また、ギフトカードは換金しないので、「使わないなら定規として使え」とある。

 脱がす発想はオカシイからこそ出てきた。

 私もマッドネスでARを考えてみよう。ひらめいたアプリは『ヒトダマクラウド』。墓地でスマートフォンをかざすと、墓石情報が見える。広い墓地で迷子になるのを防いだり、先祖の墓を探したりする手間を省く。ついでに、ゾンビやヒトダマも出てくると楽しいかも。

 昨今、日本製品が退潮気味なのは、マジメに機能追求ばかりしてきたせいもある。発想をマッドネスでズラしてみませんか。オカシイはオモシロイに通じている。

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