お台場への集客を――りんかい線&ガチャピン・ムックのコラボ戦略:エキなか!(2/2 ページ)
昨年のクリスマスシーズン、りんかい線で行われたガチャピン・ムックとのコラボイベント。どのような目的で企画され、どのような効果があったのか。NEWDAYSの担当者としてイベントに協賛した立場から解説する。
夏に続いてのコラボ
夏のキャンペーンの成功を受けて企画されたのが「りんかい線クリスマスステーション」だ。今度は東京臨海高速鉄道とフジテレビKIDSに加えて、協賛企業3社を加えることに成功した。
クリスマスということでナイガイが靴下を販売、近畿日本ツーリストが「ガチャピン・ムックと一緒に旅行に行くなら、どこに行きたい?」というアンケートに答えた人の中から抽選で5人に旅行券を提供、NEWDAYSがガチャピン・ムックのコラボ商品(サンドイッチ、おにぎりなど)を販売したのである。
私はNEWDAYSを運営するJR東日本リテールネットの担当者として参加。ここでまず行ったのは、企画主旨と目的の確認。そして、JR東日本リテールネットが担う役割と、得られるメリットの分析である。
JR東日本リテールネットの役割はJR利用客に企画を周知し、「お台場に行こう!」とアピールすること。得られるメリットは、お台場地区にもNEWDAYSがあるので、企画で集まったお客さんがNEWDAYSでコラボ商品を購入し、売上アップにつながるということである。
具体的なアクションとしては、フジテレビKIDSがWebサイト『ガチャピン日記』での告知活動とイベント運営、東京臨海高速鉄道が駅構内スペースの供与、JR東日本リテールネットが商品発注、商品に貼付するシール作成、売り場展開という役割分担。それぞれのコスト負担なども考慮しながら進めていった。
JR東日本リテールネットでは、フジテレビKIDSから商品に貼付するシールのデザインデータをもらい、印刷会社に発注、NEWDAYS従業員への売り場作り指示や、商品へのシール貼付作業を行った。このシール貼付作業は予想外に大変なオペレーションとなり、店舗のアルバイトたちに残業をお願いすることとなってしまった。
そして、ついにイベントがスタートしたのが12月18日。事前の告知はフジテレビKIDSのWebサイトだけだったので、成功するかドキドキしたのだが、さすがはガチャピンとムック。イベント会場の東京テレポート駅にあるNEWDAYSでは、通常の日曜日よりもお客さんが増え、シール貼付をした対象商品の売れ行きも好調だった。
初日の様子を『ガチャピン日記』で紹介してもらった効果もあり、平日のお客さんも増加。カレンダーが異なるので比較は難しいが、休日だった12月18日、23〜25日の売り上げは、2010年12月の休日平均より7.4%増。特に最終日の12月25日は30%増となった。この成功を受けて、次なるイベントの打ち合わせを行っているところである。
著者プロフィール:笠井清志
JR東日本リテールネット・コンビニエンス営業部長。ゼネコン、コンビニチェーン本部、コンサルティング会社を経て現職。小売業・サービス業を中心に多店舗展開チェーン(特に駅ナカ・空港等の限定商圏マーケティング)を中心に活動。NEWDAYSが2007年度から3年連続で1店舗平均日商でセブン-イレブンを抜いた実績のサポートを行う。月刊コンビニ(商業界)での執筆、海外メディア「Financial Times」等取材実績多数。著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。経営相談・講演・執筆等の依頼はこちら(kiyoshi1025@gmail.com)まで。Facebookはこちら。
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