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巧妙な情報ロンダリングに……私は“濡れ衣のデパート”と化した:中田宏「政治家の殺し方」(7)(3/3 ページ)
2006年、中田宏氏は横浜市長に再選された。しかし彼を待ち受けていたのは、巧妙に仕組まれた「情報ロンダリング」だったのだ。
こんなくだらないことに時間を取られたくないから早々に切り上げようとすると、今度は「説明が足りない」などと言って騒ぎ立てる。そうやって、どんどん事を大きくしていくのが彼らのやり口だった。
いってみれば自作自演なのだ。自分たちで勝手に噂を作り上げ、それを巧妙に広め、議会で取り上げて私の政治生命を奪おうと画策する。その動きの集大成として、「週刊現代」のスキャンダル記事へとつながっていくのである。
だが、これらを仕掛けた人たちを私は不思議と恨む気にならなかった。それは、彼らなりの正義だったと思うからだ。政治が権力を巡る攻防であることを考えれば、こうしたことは、いつの世でもあったことだ。省みれば、政策課題においても、私の年齢や性格という点においても、私は狙われやすい対象だったのだ。
(続く)
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