岩波「コネ」採用事件にみるコミュニケーションギャップ(2/2 ページ)
岩波書店が2013年度定期採用で「事実上縁故採用に限る」と宣言していることについて、一騒ぎになっている。しかし、騒ぎになった背景には、ニュースの伝え方に問題があったこともあるのではないだろうか。
この程度のハードルは当たり前!?
少なくとも昔からものすごくハードルの高い業界として名高い出版業界の、それも超有名出版社に就職したいと思うなら、この程度のハードルは当たり前すぎてむしろリーズナブルだと感じます。コネというのはそもそも自分の力ではどうしようもない、例えば血縁や長年の取引や高額な金品を介さなければ得られない特殊な不透明なもののことではないでしょうか。岩波書店の要求はむしろ出版社の業務に向いている立ち回り能力を実技審査しているように受け取れます。
つまり、今回の炎上はそれを伝えたニュースのせいです。その実態ではなく、「コネ採用!」というあおりヘッダーをそのまま真に受けて「ケシカラン!」という反応になったと考えるべきでしょう。アジテーションの基本である人間の「信じやすさ」「不公正への怒り」といった点火ポイントをうまく突いたニュース掲載者のネーミングに踊らされたといえると思います。
ネット、特にブログやTwitterなどで「火のないところに煙を立たせる」ことが誰でも簡単にできるようになりました。いまだにネット書き込みなどで「火のないところに……」と言って、「この企業はブラックですか」などという教えて君やらまっすぐ君がわんさかいる現状では、リテラシーは全然上がっていないということでしょう。
ハッ! ということは実は今回の件は岩波書店の仕組んだステマ!? もはや意味関係なしにステマと言いたいだけになっているが、何となくマーケティングっぽい感じがするし。「これだけ騒ぎになって注目集めて大成功? あーもー、いったい何が真実なんだあ」という感じでしょうか(増沢隆太)
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